前編から続きます。
授乳・離乳の支援ガイドに沿った離乳食の進め方
今回の改訂では、2007年には付表として書いてあった「歯や口腔内の発達」が1つの表にまとまりました。
保護者の不安によく見られるのが、月齢を目安とし過ぎ、他の児の離乳の進みと比べて、不安を感じるケースです。表としてまとまったことによって、個人差が出やすい乳歯の萌出や口腔機能の発達を促す試み(前からお口が動く姿を見せるといったアドバイス)がうまくできそうです。
また、以前のガイドまでは記載されていた調理形態の目安と言える「ヨーグルト、ポタージュ状、豆腐の固さ、バナナの固さ、肉だんごの固さ」という表記がなくなりました。個人的にはわかりやすい表現なので、必要に応じて伝えていきたいと思っています。
鉄・ビタミンDの積極的な摂取を
(4)の食品の種類と調理の項においては、
「母乳育児の場合、生後6カ月の時点でヘモグロビン濃度が低く、鉄欠乏を生じやすいとの報告がある。
また、ビタミンD欠乏の指摘もあることから、母乳育児を行っている場合は、適切な時期に離乳を開始し、徹夜ビタミンDの供給源となる食品を積極的に摂取するなと、進行を踏まえてそれらの食品を意識的に取り入れることが重要である。」
と記載されました。
また、鉄分摂取についての指導は、今までは生後9カ月からとされていましたが、生後6カ月頃から月齢が引き下がりました。6カ月頃から食べられる食材となると、まだ選択肢は少ないように思われますが、レバーやあさり(水煮缶が使いやすいかもしれません)大豆製品などを少しずつ試すことも、離乳の進行が順調ならいいかもしれません。ほうれん草なども鉄を含みますが、吸収率が低いため、ビタミンCを含む食物と一緒に与えるなどして吸収率をより高める調理方法などにするのがいいでしょう。
また、ビタミンDは、欠乏症としてくる病の増加が指摘されています。必要以上の日焼け止め塗布に気を付ける他、ビタミンDが多い食品である干し椎茸の粉末や、しらすなどの活用もよいでしょう。鉄・ビタミンDの摂取の食品として、共に育児用ミルクは活用がしやすいです。母乳育児の方でもまずは商品サンプルなどを活用して調理に活かしてみるのもいいですね。
ガイドの理解=「母親の気持ちや感情を受けとめ寄り添い」を重視すること
前編の最初に申し上げたように、前ガイドより約10年が経過した今、子育てをする環境・社会は大きく変化しました。授乳・離乳の支援というタイトルの通り、記載されている内容は単に子どもの成長のための基準だけではなく、育児支援の視点を重視した内容でさることをあらためて認識した上で、活用すべきだと感じます。また離乳という言葉の正しい理解も伝えるべきでしょう。
一般的には「離乳食」という言葉でやりとりしますが、「離乳」という言葉を使うことによって、乳汁栄養をやめるという理解にならない支援が今後求められます。
参考文献
厚生労働省「離乳・授乳の支援ガイド」https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
※1 授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)の概要より
https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496256.pdf
※2 厚生労働省「平成 27 年乳幼児栄養調査」(2016)
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