• COLUMN

クリスマスにお正月とイベントが盛りだくさんの年末年始。特に一年の始まりを祝うお正月は、おせち料理をはじめとする日本の食文化を伝承していく絶好の機会でもあります。
今回は、年末年始に安心・安全に過ごせるよう、1歳~3歳でも大人と共通して食べられる食事や誤嚥の観点から注意したい食べ物、食物アレルギーの配慮などについてまとめました。

誤嚥・窒息事故につながりやすい食べ物

1歳ごろから、前歯で嚙み切って歯ぐきで噛める固さのものが食べられるようになります。3歳ごろになると乳歯が生えそろい、ものをすりつぶすことができるようになりますが、噛む力は大人に比べてまだ弱いです。そのため、繊維が多い葉物類は噛み切れないことがあります。
また、この年齢の子どもは、噛み砕く力や飲み込む力が弱く、固いものもうまく噛めないため、食べ物を丸飲みすることがあります。丸飲みすると誤嚥や、のどや気管に詰まらせて窒息を起こすリスクがあります。
どんな食べ物でも誤嚥や窒息につながる可能性はありますが、年末年始の食事で特に注意したいのは以下の食品です。

【お正月料理】
●もち、かまぼこ、こんにゃく、たこ、いかなどの弾力があるもの
●黒豆などのつるつるしているもの、皮のついている豆類

【その他ハレの日メニュー】
●ミニトマトなどの球状のもの

これらの食品は小さく切って与え、子どもが安全に食べているか見守りながら食べさせましょう。たこやいかなど小さく切っても固いものは、無理に与えなくてもよいでしょう。
また、窒息事故につながる背景として「走り回って食べていた」「何個もほおばっていた」など、食事の時の行動が原因となることもあります。あおむけに寝ながら食べさせたり、遊びながら食べさせず、食事に集中させ、よく噛んで食べさせるようにしましょう。一口量が多いと感じたときは、手でかき出してあげることも必要です。

大人と共通して食べられるものは?

クリスマスの定番、ローストチキンやケーキなどは大人も子どもも一緒に食べられます。ただし、ケーキやフライドチキンなどの揚げ物は、脂肪が多いため食べる量に注意が必要です。1歳半ごろ~3歳のお子様であれば、フライドチキンは子どもの手のひらに乗る分くらいが適量になります。
お正月に食べるおせちは、上記に記載した誤嚥に注意が必要な食べ物もありますが、火が通ったものであれば子どもも食べられます。ただ、おせちは日持ちなどの観点から濃い味付けや砂糖を多く使用したものが多いため、食べすぎに注意しましょう。

刺身やいくら・かに・えびは何歳から?

刺身、魚卵、甲殻類などの生ものは、何歳からOKという明確な決まりはありません。ただし、これらの食品は細菌や寄生虫による食中毒を引き起こしやすいことから、食品安全委員会では3歳未満は控えるよう推奨しています。
また、いくらなどの魚卵系やかに・えびなどの甲殻類は、食物アレルギーを起こしやすい食品です。幼児期は消化・吸収機能や免疫機能が発達途中のため、免疫機能が過剰に反応してアレルギー症状が出やすいといわれています。
お寿司であれば、納豆巻きやかんぴょう巻き、たまご、蒸しエビといった火の通ったものを食べさせましょう。

まとめ

家族みんなで過ごす年末年始。おせち料理の意味を家族みんなで確認しながら、食べるのもよいでしょう。また、農林水産省のホームページでは、「四季を楽しむ和食すごろく」が掲載されています。ぜひ、ご家族で楽しんでみてはいかがでしょうか。美味しいお食事で安心・安全によいお年をお迎えください。


おせち料理ってどんな料理?
出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_menu/oseti/01.html)

四季を楽しむ和食すごろく
出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/pdf/sugoeoku1.pdf)

遊び方・すごろくカード
出典:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/attach/pdf/index-162.pdf)

 

参考文献
・消費者庁 ⾷品による⼦どもの窒息・誤嚥事故に注意︕
(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/assets/caution_047_210120_1.pdf)
・東京消防庁 STOP!子どもの「窒息・誤飲」
(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/stop/stop02.html)
・日本小児科学会 こどもの生活環境改善委員会 2020.10.25
(https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20201030chissoku.pdf)

  

関連コラム
年末年始の離乳期の食事について
毎日の負担が減る!「ベビーフード」のことを知ろう!
離乳食から幼児食へ~咀嚼の練習のため、食材への工夫は続く~

コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      1098日前

      年末年始の子ども食事シリーズ、第2回目は幼児期のお子さんの食事についてです。

      拍手 0

"年末年始の子どもの食事"のバックナンバー

もっと見る

WRITER

年末年始の幼児の食事について

川島 美由紀

一児の母。大学卒業後、建設会社に勤務。医療系ベンチャー企業に転職し、全国約800の医療機関に食事指導支援サービスの提供や食事指導のプロを目指す栄養士のポータルサイトの企画開発・運営全般に携わる。その後、特定保健指導の委託会社に転職。今までに食事指導した延べ人数は、15000人以上。 自身の産後を期に、ママだけが一人で頑張る世の中を変えたいという想いから、子育て両立支援事業会社に転職。家族支援サービスとしてお手伝い教育で子どもの「自信力」を育む食育プログラムの企画開発・運営に携わる。 現在は、保育園向け給食支援サービスを提供する会社にて食育コンテンツの開発に携わりながら、保健センターでの乳児健診、1歳半健診、3歳児健診時の栄養相談、離乳食指導、食品メーカー様向けレシピ開発、コラム執筆などで活躍中。 【個人での主な仕事】 保健センターにて1歳半・3歳児の栄養相談、離乳食講座、親子クッキング教室、 地方自治体にて両立のための時短料理講座、お出かけ情報サイトいこーよにてコラム執筆、遺伝子検査×栄養サポートの開発・監修、ミス・グランドジャパン2018・2019の栄養サポート、飾り巻き寿司教室を定期開催など

川島 美由紀さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"妊娠・出産・育児"に関するコラム

もっと見る

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ