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妊娠後期(28週以後)はお腹がどんどん大きくなるため、胃が圧迫されて食欲が低下したり、便秘が加速したりします。また、血液量も増加し貧血にもなりやすくなります。個々の体調に合わせて質の良い食事をとることが、赤ちゃんの成長と出産への身体の備えにつながります。

妊娠後期に気を付けたい食事のポイント

身体が産後の授乳に備えるので、まとめて睡眠がとれず夜中に目を覚ましやすくなります。そのため、朝寝坊が増えるのも後期の特徴です。朝は早めに起きて食事や散歩をし、その後にお昼寝を取り入れましょう。朝食を抜く習慣を付けると、必要な栄養素がとりきれなくなることもあります。
また、妊娠中にカフェインをとり過ぎると赤ちゃんの発育に影響し、低出生体重児となるリスクが高まる可能性があります。しかし、1日1〜2杯程度のコーヒーや紅茶は問題ないといわれています。大好きなコーヒーを我慢してストレスが溜まったり、ジュースに置き換えていたら本末転倒。おやつタイムに1杯飲んで、リフレッシュできると良いですね。チョコレートやエナジードリンクにもカフェインが含まれているため、とり過ぎには注意が必要です。

食事の付加量について

妊娠後期は、エネルギーやたんぱく質の付加量が大きく増加するため、主食を3食とり、たんぱく源となる食材を毎食2品程度とりましょう。主食・主菜・副菜を意識したバランスの良い食事をとることが重要です。無理なく栄養補給をするために、ビタミンやミネラルが補強されている食品(補助食品)の利用も一つの方法です。
食事量を増加させると塩分も増加しがちになるので、味付けは控えめにし、旬の食材やおいしいだし、香味野菜や酸味を利用して減塩を心掛けるようにしましょう。
カルシウムの付加量は設定されていませんが、日本人女性が不足しやすい栄養素のため、意識して食品から摂取することが求められています。

 出典:日本人の食事摂取基準2020年度版 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.htmlをもとに筆者作成

【妊娠後期におすすめのメニュー例】


後期つわりの時の食事

お腹が大きくなると、胃が圧迫されてムカムカしたり、食欲がなくなる後期つわりを経験することもあります。その場合は、一度にたくさん食事をせず、少量をこまめに食べる分割食が良いでしょう。間食も食事の一部と捉え、お菓子でお腹を満たすのではなく、不足しやすい栄養素を補うことを目的として、果物、乳製品、芋類、野菜スープ、豆乳などを選ぶようにしてください。特に、体重増加が必要量に満たさない場合は、積極的に質の良い分割食を取り入れて、体重が適切に増加できるよう食事量を維持できるといいですね。
食事回数が増えると、むし歯のリスクが上がるので食後のうがいや歯磨きも忘れずに行いましょう!

体重管理について

後期は赤ちゃんがどんどん大きくなり、血液量や蓄積する脂肪量も増加するため、お母さんの体重増加はピークになります。しかし、体重の急増は避けたいところ。家族の帰宅を待ち夕食が遅くなっている方は、先に食事を済ませると良いでしょう。産休や、里帰りをして環境が変わる方は体重が急増しやすいので特に注意しましょう。
しかし、体重増加を気にするあまり食事の量を減らしたり、偏った食事にならないよう気をつけましょう。食事をしっかりとり、体重を適切に増加させてください。体重がどれだけ増加したかはもちろん大切ですが、何を食べてどんな栄養を赤ちゃんに送ったかがもっと重要です。

出典:妊娠中の体重増加の目安について(日本産婦人科学会)
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210616_shuuchi.pdfをもとに筆者作成


管理栄養士による母子の支援

妊娠中は出産がゴールとなりやすいですが、出産は育児の通過点です。妊娠をきっかけに食生活を見直し、そこで身に着けた習慣を産後の身体の回復や授乳中の食事、子どもの食事、そして家族みんなの健康へとつなげていけるよう、切れ目なく管理栄養士が介入し、気軽に相談できる場がとても大切だと考えます。


 

参考文献
・ベネッセコーポレーション:「月数ごとに見てわかる 妊娠・出産新百科」ベネッセコーポレーション(2010年)
・滝口直樹:「混ぜるだけ&煮込むだけで栄養バッチリ!妊娠中のラクうまごはん」株式会社マイナビ出版(2020年)
・厚生労働省:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/ninpu-02.html(閲覧日2021年7月30日)
・日本産婦人科学会:「妊娠中の体重増加指導の目安について」
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20210616_shuuchi.pdf(閲覧日2021年7月30日)
・厚生労働省:「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html(閲覧日2021年9月4日)
・厚生労働省:「食事摂取基準2020」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
(閲覧日:2021年9月10日)


 

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お腹の中~人生最期の時まで幅広く、その人らしい食事や生活が送れるようサポートしたい 沼倉真宝子さん

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      16日前

      イートリスタの沼倉さんが解説する「妊娠中の食事と体重管理」シリーズ、連載最終回は妊娠後期についてです。

      拍手 0

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WRITER

妊娠中の食事と体重管理「妊娠後期編」

沼倉 真宝子

1日3回、1年で1000回 ​栄養を摂るためだけの食事ではなく、 日常に密着した食生活を一緒に考える。 気軽に相談できる場を創りたい。 個々に合ったライフステージごとの食事を提案します。 病院管理栄養士として14年勤務。総合病院、療養型病院、リハビリ病院、産婦人科病院を経験し様々なライフステージや臨床栄養を習得。栄養管理、給食管理、NSTなど幅広い業務経験あり。延べ3000人以上の栄養指導を実施。また、離乳食教室を8年主宰し、3500人以上の離乳食相談の経験を積む。指導媒体の作成や、セミナー講師も経験豊富。 プライベートでは、小学生の姉妹を育てるママ。自身の手術、癌で家族を亡くしたこともあり、「育児・闘病・自宅で家族を看る」当事者として同じ目線で、頑張り過ぎない方法を一緒に考えられるのではないか…。そんな経験から、疾病・介護予防や日常の食生活を共に考えられる仕事がしたいと思い2021年夏 独立。 フリーランス栄養士として食育、栄養相談、在宅訪問、料理教室、SNS発信、地域活動など身近な栄養士として活動していきたいです。 気軽に相談ができる場を創り、充実した食生活を送るお手伝いをします。 肩の力を抜きながら、無理なく続けられる食事。一緒に考えてみませんか?

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