女性の社会進出や核家族化をはじめ、「母親」に対する価値観が多様化したこともあって、ベビーフードは子育てをするパパやママにとって必須アイテムの一つになってきています。ベビーフードは食事メニュー以外に、飲料やおやつといったジャンルも広がってきています。「使ってみたいと思う気持ち」と「手作りを提供したいという」思いをどう両立していくのかを一緒に考えていきましょう。
3割の保護者が感じる離乳食への負担感
平成27年乳幼児栄養調査において、「作るのが負担、大変」と回答した保護者の割合は33.5%と最も高く、約3割の保護者にのぼりました。保護者の中にはもともとキャリアウーマンでほぼ外食生活だった方や、料理への苦手意識を持つ方もいらっしゃることを考えると納得の反応ですよね。とはいえ、赤ちゃんの急激な成長と発達に必要な栄養は、乳汁以外からも摂ることが必要なので、離乳食を介していろいろな食べ物を食べる練習をしなければなりません。
手作りを基本とし、家庭で食べる食事に少しずつ近づけていくのが離乳食期ですが、離乳食を作ることへの負担が少しでも軽減するのであれば、ベビーフードの賢い使用はその解決の一つとなることでしょう。
種類がたくさん!実際の商品を見てみましょう!
ベビーフードは、今や500以上※1にものぼる種類があり、離乳初期から使えるものなど、さまざまな製品が売られています。形状、メインやサブとしての使用、飲料・おやつなど、いろいろなものがあります。ドラッグストアやスーパーなどをみても各種多様です。また、大手メーカー以外でも有機野菜や農薬不使用など、食材にもこだわった商品もあり、保護者皆さんの要望に応える離乳食を支えるラインナップとなっています。保育所などでも活用できそうな商品としても開発されています。
瓶・プラスチック
•開けてそのまま食べられる
•お出かけ先での食事・持ち運びにも便利
レトルトパウチ
•温めたり常温でも食べられるタイプあり
•かさばらないので買い置きにも便利
フリーズドライ
•お湯をかけて溶かしたりして調理。離乳食作りの時短、他の離乳食と組み合わせるなどアレンジしやすい
ベビーフード使用に際してのメリットとデメリット※2
手軽に使える反面、頼りすぎることについては課題もあります。ベビーフードを利用する際のメリットやデメリットを見ていきましょう。
【メリット】
●月齢に合わせて粘度、固さ、粒の大きさなどが調整されているので、離乳食を手作りする場合の見本となる。
●製品の外箱等に離乳食メニューが提案されているものもあり、離乳食の取り合わせの参考になる。
●単品で用いる他に、手作りの離乳食と併用すると、食品数、調理形態も豊かになる。
【デメリット・気を付けたい点】
●多種類の食材を使用した製品は、個々の味や固さが体験しにくい。
●ベビーフードだけで1食を揃えた場合、栄養素などのバランス取りにくい場合がある。
●製品によってはこどもの咀しゃく機能に対して固すぎたり、軟らかすぎたりすることがある。
便利だからこそ知っておいて欲しいこと
鮮度の良いものの調達や下ごしらえが面倒のため、なかなか購入する機会の少ないレバーなどは、鉄分摂取のためにも助かる存在かも知れません。ただし、幼児食期以降でのレトルトタイプのフードの場合、硬さが咀しゃくの力と比べると柔らかい傾向にあるので、注意が必要でしょう。また、一旦開封したものは、その時に使い切るようにしましょう。衛生管理に気を付けるのは手作りの時と共通の注意点です。パッケージの注意書きをよく読むことも忘れないようにしましょう。
ベビーフードって味が濃くないですか?という疑問
食事相談を受けていると、保護者の方からベビーフードは味が濃いように思うという反応をよく耳にします。本当に塩分が濃いのでしょうか?
味を感じる要素(五味)には塩味だけではなく、うま味を聞かせることで味がしっかり感じることができます。市販のベビーフードは、このうまみ味を効かせるために旨みエキスなどを活用するため、少量での塩味でもしっかりと感じられるのでしょう。子どもの味覚にあった基準のもと、調製されているので、手作りをする離乳食の工夫として塩味だけに頼らず、うま味を効かせる作り方などを心がけたいものですね。
頑張りすぎている保護者にもおすすめ!
「たまには大人も刺激的なメニューを食べたい!」と思った時は思い切ってベビーフードを活用し、ママやパパ自身の心の栄養を優先してあげることも楽しい食卓の雰囲気作りに役立つと思います。最近は情報過多の子育てで、離乳食作りは頑張って作っているけど、育てている側の大人の方が栄養失調気味のような気がしてなりません。見栄えする美味しそうな離乳食を与えた後、親はこっそりキッチンで菓子パンだけなどということもあるようです。体力・気力が必要な育児生活を支える上でも、大人の食事も大事です。賢く利用することで育児を負担に感じ過ぎない支援の一つに活用することもよいでしょう。
参考文献
※1日本ベビーフード協議会
https://www.baby-food.jp
※2厚生労働省 「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年改訂版)https://www.mhlw.go.jp/content/11908000/000496257.pdf
<コラム2> ベビーフードを活用する際の留意点について
※3ベビーフードの自主規格について
https://www.baby-food.jp/standard/standard.html#standard1
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