介護食開発を通して患者さんの生活をサポートしていきたい - 儀間詩織さん - コラム

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管理栄養士・栄養士インタビュー

2017.08.18

介護食開発を通して患者さんの生活をサポートしていきたい - 儀間詩織さん

介護食食品メーカー管理栄養士の仕事管理栄養士
posted byEatreat 編集部

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マルハニチロ株式会社のメディケア営業部で、介護食の商品企画や販促に携わっている儀間詩織さん。管理栄養士になったきっかけ、現在の活動や今後の展望などについて、お話をうかがいました。

食への興味の原点は母の毎日の食事

私は昔から、食べることや食事を作ることがとても好きでした。何か大きな出来事があって、管理栄養士を目指そうと思ったわけではないのですが、原点に立ち返ると、毎日母が仕事をしながらも、きちんと家族の食事を作ってくれていたことが大きく影響しているのではないかと思います。小さい頃はそれが当然のことだと思っていたのですが、ふと、家族の健康のために毎日の食事を手作りするって大変なことだと思うようになり、食や健康などに対して深く興味を持つようになりました。その興味はずっと変わらず、今でも時間があれば、プライベートでも食に関するイベントに参加しています。

幅広い管理栄養士の仕事内容について知ってもらいたい

働き始める前の管理栄養士のイメージは、「給食を作る人」という感じだったのですが、社会人になって色々なフィールドで活躍する管理栄養士の皆さんと知り合う機会が増えると、イメージは180度変わりました。
お医者さんなら病院、歯科医師さんなら歯科医院というように、専門的になると働く場所が限定的になりますが、管理栄養士の場合、病院施設や学校などの給食関係の仕事以外にも、広告代理店や様々なメーカーで働いている人などもいて、働き方が想像していたよりもずっと多種多様でした。
管理栄養士の仕事というのは、たくさんの業種と携わることができ、いろんな可能性を秘めている仕事だというのは、これから管理栄養士を目指す学生の皆さんにも知ってもらいたいですね。

商品開発では現場の声を大事に

私のおもな業務は弊社で販売している介護食の販促、広告、商品企画といったマーケティングの仕事です。販促では、カタログや営業チームが使うチラシの作成をします。広告の業務は、メディアへの純広告の出稿から、レシピコンテストといったイベントの運営まで多岐に渡ります。
商品開発の業務では、病院施設などの現場に問屋さんと一緒にお邪魔して、現状困っていることや、どんな商品がほしいかを直接ヒアリングします。現場の生の声を聴くのはとても大事なことだと思っています。
介護施設では、経腸や胃ろうといった方法で栄養を摂っている方も多いのですが、そんな患者さんたちが「口から食べるためにはどうしたらいいか」「食事を楽しむためにはどんな工夫がいるか」について、栄養士さんはじめ、多職種のみなさんが真剣に頭を悩ませています。単純に栄養やカロリー計算をしているだけではないのです。そういった現場の声をくみ上げて、一から商品化していくのはとても地道な作業ですが、自分が人の役に立てていると実感でき、とてもやりがいを感じます。医療職種もメーカーも、みんなで協力して一緒になって取り組む一体感のようなものを感じながら商品開発ができるのは、素晴らしいことだと思います。

「食べた！食べた！」という喜びの声

管理栄養士として働いていて本当によかった…と思う出来事がありました。以前、とある施設にうかがった時のことです。半年もの間、口からご飯を食べていなかった入居者さんがいらっしゃったのですが、弊社の「ほうれん草の胡麻和え」の介護食を試しに薦めてみたところ、食べることができたのです。
「食べた！食べた！」
と、周囲から歓声が上がったあの時の様子は、今でも鮮明に覚えています。その後もその入居者さんとの会話で、普段は話さないような食べ物に関する話題が出てきて盛り上がり、この人たちのためにがんばろう！　と決心したものでした。

今後の展望

食品業界は、基準、法律などが絶えず変化していく業界なので、常に情報収集をし、専門知識を勉強しておかないといけません。そこで、学会などには積極的に参加して情報収集を怠らないように心がけていますが、それを自分ひとりの中にとどめておくのではなく、もっともっと社内の営業チームのメンバーに共有していかないといけないな、と思っています。
これまでは業務用の介護食の取り扱いが大きな割合を占めていた弊社ですが、今後は市販用（一般家庭用）の拡販を目指しているので、一般家庭をターゲットとした広告・販促といったマーケティングの知識・スキルを個人的にはもっと付けたいと思っています。

最後に一言

日本はこんなに豊かな国なのに、食に関するネガティブな問題がとても多いと感じています。今は介護食に携わっているので、介護と食に関する問題を解決していくのが使命ですが、今後は生活習慣病と食の問題など、多岐に渡って取り組んでいきたいと思っています。食を通じて患者さんが健康に過ごせるように、サポートをしていく素晴らしい仕事なんだという意識を持って、これからも食で困っている人の悩みを解決できるような管理栄養士になりたいです。