2020年1月、この時点ではまだ中国で新しいウイルスが広まって大変らしいと、他人事のように感じていた人も多いのではないでしょうか。保健指導の現場でも、実際に変化が起こり始めたのは、2月に入り街からマスクが消え始めた頃からでした。
コロナによって変化した保健指導のスタイル
これまでは対面が主流であった特定保健指導ですが、新型コロナウイルスの流行により、保健指導のスタイルも変化していきました。
特定保健指導の実施機関にとって、健康改善のために行う保健指導の場で、新型コロナウイルスが広がってしまっては元も子もなく、責任も取れない事態となってしまいます。各実施機関によって考え方はさまざまでしたが、昨年2月頃はまだマスク着用などの感染症予防対策、面談前の体調や体温の確認などに配慮しながら対面指導を続けていました。
しかし、緊急事態宣言が出た3月以降は、対面指導は一斉に自粛となり、電話やメールなどを使った継続支援のみの実施となりました。その後、6月にようやく緊急事態宣言が解除され、各実施機関では感染症予防対策をとりながら徐々に対面指導が再開されました。
今年1月の二度目の緊急事態宣言では、対面指導の自粛はありませんでしたが、多くの実施機関ではICT(情報通信技術)を用いた遠隔面談の実施が増えています。希望される参加者様には対面指導を行い、実施率の低下につながらないよう配慮しながらも、支援の基本が遠隔面談に移りつつあります。
保健指導を受ける参加者様の変化
もともと保健指導を受けること自体に拒否的な参加者様もいらっしゃる中、「コロナ禍だから」と保健指導を断られる方もいらっしゃいました。
コロナ禍でこれまで以上に一人一人の健康に関する意識が高まり、メタボリックシンドロームを放置したリスクを自分事として捉える方が多くなりました。
また、「コロナ太り」の文字通り、在宅勤務や外出自粛など、生活リズムの変化によって体重の増減を感じた方も多く、ワークライフバランスを見直して、生活リズムをいかに朝型に変えるかを考えるきっかけになった方もいらっしゃいます。
保健指導を実施する管理栄養士として感じたこと
コロナ禍によって、これまで当たり前だった対面指導が自粛となり、ICTを用いた遠隔面談が増え、管理栄養士はそのスキルが必須となりました。感染症予防やコスト面から見ても、遠隔面談は今後も主流になるかと思います。遠隔面談の慣れない作業や知識に戸惑いながらも、その技術を学ぶことは、管理栄養士としての新たな可能性へとステップアップしていけると思います。
未来に向けた自分の健康とお金について積極的に考える時間を保健指導によって提供し、行動変容の良いきっかけになればと願っています。
まとめ
まだ主流とはいえませんが、コロナ禍がもたらしたものとして、ICTを活用したオンライン医療や産地直送の食料品の販売など、人が動かずに物だけが動く時代が実現されようとしています。
私達管理栄養士もこうした技術を活用し、人に寄り添った身近なアドバイスができる存在として、社会に必要な仕事をさらにしていけるのではないでしょうか。
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