COLUMN

日本では、地域ごとに風土や気候の特徴があり、その土地ならではの食材がたくさんあります。「日本各地の食材紹介シリーズ」では、地域ならではのおいしい食材の旬や栄養、美味しい食べ方などをご紹介していきます。
八丈島編の第1回目でご紹介する食材は、味と食感が魅力の「カメノテ」です!

八丈島の紹介

八丈島は、東京の南方海上286kmに位置し、面積69.11平方キロメートルのひょうたん型をした島です。地形的には火山島であり、南東部を占める三原山と北西部を占める八丈富士から成り立っています。気候は、黒潮暖流の影響を受け高温多湿で雨が多いことが特徴です。年の平均気温は17.8℃程で「常春」の島ともいわれています。

カメノテとは

カメノテは、フジツボ目ミョウガガイ科の甲殻類で、北海道~沖縄まで幅広く生息しています。爪(外殻)の部分がまさに「亀の手」のように見えることから、カメノテと呼ばれるようになりました。潮通りの良い場所やテトラポットや岩の隙間にビッシリとへばりついていて、干潮時には海面から出ていることが多いです。
スペインでは「ペルセベス」と呼ばれ、や白ワイン蒸しやガーリック炒めなどにしてよく食べられており、高級食材として扱われています。
味はカニやエビに似ており、食感は貝に似てコリコリとした歯ごたえがあります。
カメノテは爪の部分ではなく、茶色い根元の部分の皮をむいて食べます。爪の中には餌を補食するひらひらとした蔓脚(まんきゃく)がありますが、この部分に身はほとんどなく、ジャリジャリとした食感であることが多いため食べることはできません。

旬と保存方法

カメノテの産卵期は6月下旬頃から8月で、栄養を蓄える春〜夏にかけてが最もおいしいとされています。近年はテレビで紹介されることが多くなり、大型の鮮魚店やスーパーでも時々見かけるようになりました。購入する際は、大きめの物を選ぶと可食部が多く、食べやすいのでおすすめです。基本的には冷蔵で保存し、購入後はすぐに食べましょう。多少味は落ちますが、冷凍保存もできます。

カメノテは、ドライバーや「いそがね」と呼ばれる漁具を用いて漁獲することができますが、漁獲する際は地域の漁業権を確認する必要がありますので注意してください。

カメノテの栄養

カメノテは食品成分表に記載されておらず、正確な栄養価は不明です。一般的には、貝類と同じようにコハク酸が多く含まれているといわれており、うま味が強く疲労回復効果も期待できます。

おすすめの食べ方

■下処理
カメノテには、海藻や砂などが付着していることが多いので、しっかりと洗ってから調理しましょう。真水で洗うと味が抜けてしまうので、海水に近い塩分濃度の水を用いることがおすすめです。

■おすすめの食べ方①塩ゆで ★最もポピュラーな食べ方です。

【作り方】
①下処理したカメノテを鍋に入れ、水をかぶる程度入れます。少量の塩と酒を入れたら加熱します。
②沸騰したら5分ほどアクを取りながら茹でます。
③茹で上がったらざるにあけて粗熱とります。
※この時、ゆで汁は捨てずにとっておくとだし汁として活用できます。

【食べ方】
少々コツがいりますが、爪の部分を持ってねじったり引っ張ったりすすると、スポッとむけます。難しい場合は、キッチンバサミを使うと簡単です。可食部である、ピンク色の身の部分を食べましょう。

■おすすめの食べ方②みそ汁
小さめのカメノテは、身を食べずにだしとして用いると良いでしょう。

【作り方】
①塩茹でと同じ要領で鍋にカメノテを入れて火にかけます。
②茹で上がったら味噌を溶かして完成です。

なかなか手に入りづらい食材ではありますが、見かけたときはぜひ購入して召し上がってみてください。


参考文献
・八丈町:「八丈町の概要」、八丈町:https://www.town.hachijo.tokyo.jp/gaiyo/gaiyou.html(閲覧日:2023年6月10日)
・魚食普及推進センター:「カメノテって、亀の手?何の手?」https://osakana.suisankai.or.jp/shokuiku/4877(閲覧日:2023年6月10日)
・ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑:https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%AB%E3%83%A1%E3%83%8E%E3%83%86(閲覧日:2023年6月10日)
・香川明夫:「八訂 食品成分表2023」女子栄養大学出版部(2023年)

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管理栄養士としてどんなことにも挑戦していきたい! 千葉七海さん

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      483日前

      管理栄養士の千葉七海さんに、地元八丈島のおいしい食材を紹介していただくシリーズです!第1回目は、味と食感が魅力の「カメノテ」を紹介していただきます。

WRITER

千葉 七海

幼少期から食べることが大好きで「食に関わる仕事がしたい」とぼんやり考えていました。将来的に地元の八丈島で働きたいという思いが強く、「栄養士ならば病院や福祉施設、学校でも働けるのでは?」と考えたことがきっかけで栄養士となり、実務経験と国家試験をへて管理栄養士となりました。 これまで、たくさんの出会いが私を成長させてくれました。管理栄養士としてフリーランスの今、本当にたくさんのお仕事に関わるチャンスが増えたと実感しています。良い意味で型にはまらず、どんなことにも挑戦していきたいと思います!

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