今回の旬の野菜は12月に旬の「ねぎ」です。
ねぎは、ユリ科の多年草です。和名をネギ、ネブカ。その他に、古名を「き(葱・岐)」と言ったことから、文字が1つという意味で「ひともじ」という呼び名もあります。
中国では紀元前から栽培しており、日本には奈良時代に渡来したと言われ、日本書紀にも記述があるとされています。
根深ねぎと葉ねぎの違い
ねぎの食用部分は葉になります。葉には白い部分と緑の部分があり、白い部分を白根、緑の部分を葉と呼んでいます。一般的に、主に白根を利用する根深ねぎと緑の部分を利用する葉ねぎに分類されます。関西では根深ねぎを東京ねぎといい、薬味には葉ねぎ、すき焼きには根深ねぎと使い分けがされてきました。一方、北・東日本では薬味もすき焼きも、一般的には根深ねぎが多く見られます。
ねぎの香り成分は硫化アリルと言う、たまねぎやにんにくの匂い成分と共通の物質で、肉や魚の臭い消し、食欲を増進させる香味野菜としての働きがあります。硫化アリルは、ユリ科の植物に含まれる硫黄化合物の一種です。代表的なものがアリイン。酵素の働きによってアリシンに変わります。
ねぎを切っていると涙が出てくる理由
硫化アリルは揮発性の催涙物質のため、ねぎを切っていると、成分が鼻や目の粘膜に触れます。それで涙が出てくるという仕組みになっています。
アリシンはビタミンB1と結合すると吸収率が高くなり、効果が持続するアリチアミンに変わります。豚肉などB1の多い食材と合わせると効率よく利用されます。エネルギー代謝を高めるだけではなく、身体を温めたり、疲労の回復したりする作用もあります。アリシンには血液の凝固を遅らせて、血流を改善し血栓をできにくくする働きがあります。硫化アリルは水溶性なので、長く水にさらすと効果も薄れていきます。
触るとヌルヌルする内側の薄皮は、ペクチン、ヘミセルロースといった水溶性の食物繊維です。
おいしいねぎの選び方
根が白くて長くみずみずしく、青い部分が肉厚、触った時によく締まっているもので、緑の部分と白の部分の境目がはっきりしているものを選ぶといいでしょう。保存は葉先を出して新聞紙で包んで冷暗所に。使いかけは、養分が失われないように根を切り落とし、ポリ袋やラップに包み、野菜室へ冷蔵。泥付きのものは根の部分を土に埋めておくと長持ちします。
ねぎの調理法は幅広い!
汁物、鍋には欠かせない食材です。焼きねぎ、サラダなどにも活用できます。斜め薄切りしたたっぷりのねぎに熱々のごま油を回しかけ、余熱で蒸らし、好きな調味料で味付けをし、麺や餅と和えたりしてもおいしいですね。白根をコンソメで煮て、スープ煮で食べるのもなかなかです。また、マヨネーズを添えると、ホワイトアスパラのような柔らかい味わいになります。そのスープ煮をミキサーにかけ牛乳と合わせてポタージュでも。キッシュやカレーにも適しています。
捨てる人が多いと思いますが、ねぎのひげ根も素揚げにして食べることができます。食べやすい長さに切ってキツネ色になるまで揚げ、塩を振って食べてみてください。新しいねぎの世界が広がりますよ。
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参考文献
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『野菜の効用事典』山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『趣味の園芸 やさいの時間』2017年1月号 NHK出版 2016
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』板木利隆 高橋書店 2016
・『新・野菜の便利帳 健康編』名取貴光 高橋書店 2016
・『簡明食辞林 第2版』樹村房 1997
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
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