今回の旬の野菜は4月に旬の「おかひじき」です。
海藻のひじきに似ているから「おかひじき」
海岸の砂地に自生するアカザ科サルソラ属の1年草。和名はおかひじき。「陸鹿尾菜」と漢字で書きます。
海藻のひじきに似た細いかたちから来た呼び名です。
若い時のやわらかい葉と茎を食用にする海藻の「みる」に似ているので、「おかみるな」、「みるな(水松菜)」とも呼ばれています。
日本でも古くから食用の野草として扱われていましたが、山形県では古くから栽培され、「ひじき」と呼ばれていました。栽培の歴史は明らかではありませんが、江戸時代の初期に、庄内浜でとれたおかひじきの種が、当時の主要交通路だった最上川を往来した舟便によって導入されたと言い伝えられています。また、1828年の「本草図譜」で、本種の地方名として「オクヒジキ(羽州米沢)」と記してあることから、米沢地方には相当古くから普及していたことがうかがわれます。
おかひじきは栄養満点の緑黄色野菜
おかひじきを野菜として栽培するのは日本だけと言われています。
野菜の少ない冬に、その鮮やかな緑色と独特の歯ざわりで古くから親しまれてきた日本原産の野菜のひとつと言えます。
おかひじきはカロテンが豊富な緑黄色野菜です。カリウムの含有量は野菜のトップクラスになります。さらにカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガンなど一度に多く食べなくてもミネラルのいい補給源になります。ビタミンKも豊富です。おかひじきが注目されるようになったのは、このような栄養価の高さからです。山形県では学校給食に登場しています。
おかひじきの属名サルソラは塩、種名は旧ソ連の植物学者コマロフによって付けられました。属名のとおり、シュウ酸ソーダを含み、ナトリウム含量が多かったので、以前はおかひじきを焼いて炭酸ソーダを製造していました。
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おいしいおかひじきの選び方と保存
鮮やかな緑色で、葉にハリがあるものや株が小さめで育ち過ぎていないものの方が、シャキシャキ感が楽しめます。
根元が黄色く変色していたり、花が咲いていたりするものは控えましょう。
保存用パックやポリ袋に入れて野菜室で冷蔵してください。表面が乾燥すると、風味も食感も落ちるので早めに使いきりましょう。自生のおかひじきの場合は海岸に生えているので、一晩水に漬けて塩出ししてから使いましょう。
おかひじきの調理法のポイント
味にくせがないので、熱湯で1-2分さっと茹でて流水へ。加熱し過ぎると、せっかくの良い歯触りのシャキシャキ感がなくなりますので、気を付けましょう。
山形県の伝統料理のからし和えをはじめ、お刺身のツマや、天ぷら、炒め物、汁物も。ごま和えの代わりにピーナツ和えでもおいしくいただけます。サラダ、納豆に入れてもいいですね。ひやむぎ、パスタに向いています。
根元の白い部分は、固いことがあるので取り除きましょう。
参考文献
・おかひじき 山形県ホームページ
http://www.pref.yamagata.jp/ou/somu/020020/03/mailmag/special/vegetable/okitama2.html
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 健康編』 名取貴光 高橋書店 2016
・『旬の野菜の栄養事典』 吉田企世子 エクスナレッジ 2016
・『野菜園芸大事典 第4版』 養賢堂 1988
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『地域食材大百科 第2巻』 農山漁村文化協会 2010
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