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今回の旬の野菜は4月に旬の「たけのこ」です。

「たけのこ」は竹の幼い茎

イネ科。和名はたけのこ、もうそうちく。たけのこは、竹の地下茎から出てきた幼い茎です。
日本の竹の種類は650種以上とも言われています。その中でも、広く食用にされているたけのこの大部分は孟宗竹(もうそうちく)のもので、一般的なたけのことされています。
孟宗竹の原産地は中国の江南地方とされています。1736年(元文元年)に薩摩藩主の島津吉貴が、当時の琉球経由で伝えられた孟宗竹を、鹿児島の磯公園に植えたのが最初とされており、以降、青森県以南の各地に広まっていったと言われています。

「たけのこ」と竹の違い

たけのこの成長は著しく速く、孟宗竹で1日あたり最大伸長1.2mの記録があるそうです。収穫期を逃すとえぐ味が増して硬くなっていきます。
たけのこの皮には、イノシシやキツネなどの動物に食べられないように、たけのこを守る役割をしています。この皮が、たけのこと竹を分ける境界線になっているのです。背が伸びるにつれて、皮は一枚一枚、自然とはがれ落ちて、すべて落ちると竹になります。皮が全部落ちるのに30日かかると言われています。皮が完全にとれたのが竹、ということなのです。

「たけのこ」の栄養

たけのこは野菜の中でもたんぱく質が多く、甘み・うま味成分のアスパラギン酸・グルタミン酸などのアミノ酸が多いのが特徴です。また、カリウム、マンガンも豊富に含まれています。
大きいままで茹でるので、水溶性のカリウムの損失が少なくなります。たけのこは1食あたりの摂取量が比較的多いので、食物繊維、ナイアシン、パントテン酸、亜鉛、鉄など、ビタミン、ミネラルのよい供給源にもなります。
茹でたけのこにある白い粒は、アミノ酸の一種のチロシンが結晶化したもので、食べても害はありません。
アクの正体は、ホモゲンチジン酸とシュウ酸で、どちらも掘りとってから急速に増加していくのが確認されています。ちなみに土壌によって味やアクの量が異なると言われています。アクはカルシウムの吸収を抑えてしまう作用があるため、アク抜きが必要になります。

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おいしい「たけのこ」の見分け方

ラーメンにつきもののしなちくは、多くは台湾や東南アジアから輸入されているマチクやリョクチクで、切りとったたけのこをボイルもしくは蒸してから、塩漬けにして発酵させたものになります。
孟宗竹のたけのこでは、形がずんぐりで重みがあり、皮の色のツヤがよく、根元の切り口の断面が白く、みずみずしいもので、いぼが少なく、赤い斑点がないもの。また、先端部分が開いていないもので、黄色がかったもの。黒く変色していないものがいいでしょう。緑色のものは、土から出て日が当たったものなので、えぐ味が強いので控えましょう。

「たけのこ」の調理法

生のまま置いておくと硬くなって、えぐ味も強くなるので、できるだけ早く茹でましょう。茹でた後、かぶるくらいの水に漬け、毎日水を変えながら冷蔵庫保存で一週間ぐらいはもちますが、早めに使いきりましょう。掘りたてであれば、アクが少ないので、茹でずに調理はできますが、通常は茹でてアク抜きする必要があります。
皮つきのまま、先を斜めに大きく切り落とし、皮をたてに一本切り込みを入れます。大きな鍋に、たけのこを入れ、たっぷりの水とぬかをひとつかみ(たけのこの10%程度)加え、たけのこが浮かび上がらないように落としぶたをして、沸騰してきたら静かに煮立つ程度の火加減にします。
大きさによって茹で時間は異なるので、40-50分を目安に、根元に竹串がすっと通るようになるまで茹でます。火を止めたら、茹で水に漬けたまま完全に冷まし、皮をむき洗って使用します。
ぬかを使うのは、ぬかの中のカルシウムが、えぐ味成分のシュウ酸と結合して、茹で水の方に移行するためと考えられています。皮ごと茹でるのは、皮に含まれる亜硫酸塩が、繊維を軟化する作用を持っているためです。また、唐辛子は入れることでえぐ味がとれ、殺菌作用があるためよく使われています。

「たけのこ」のおいしい食べ方

煮物、和え物、汁物、蒸し物、炒め物、揚げ物、ご飯にも使います。高知県ではお寿司にも良く入れます。あんかけの具材にも見られますね。
たけのこは部位によって使い分けするとよいでしょう。皮をむいていくと、中の穂先の方にやわらかい皮があります。姫皮といって、細切りして、梅肉和えやごま和えなどにしたりもします。
中央部分は調理法が多いので、煮物、揚げ物、炒め物などどんな料理にも合います。珍しいところではグリーンカレー、グラタンにもいいですね。根元を使う時は硬いので、細切りにして炒め物にしたり、すりおろしたりして揚げ物にもいいですね。

参考文献
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『野菜の仕入れ事典』 瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『野菜園芸大事典 第4版』 養賢堂 1988
・『地域食材大百科 第2巻』 農山漁村文化協会 2010

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みんなのコメント( 2

    • ID: 313
      2378日前

      幼稚園での食育の知識に使えるという声がありました。

      拍手 3

    • ID: 337
      2406日前

      採りたてのタケノコ、美味しいですよね!これを読んだら食べたくなりました。

      拍手 2

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WRITER

「たけのこ」の栄養素や歴史【管理栄養士監修】4月の旬の野菜の栄養学

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

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