発酵食品とは?
ここ数年、塩麹や甘酒のブームによって発酵食品に注目が集まっています。
発酵食品とは、酵母菌やカビ、細菌などの有用微生物の働きによって発酵してできた食品です。発酵と腐敗はよく似た現象ですが、人間にとって良いものは「発酵」、悪いものは「腐敗」になります。発酵には、長期保存が可能になる、素材そのままより栄養価が高くなる、消化吸収がしやすくなる、独特の匂いや味により嗜好性が高まるなどの利点があります。
発酵食品を作り出す代表的な微生物は、乳酸菌、麹菌、酢酸菌、酵母菌、納豆菌の5種類で、味噌や醤油といった様々な調味料や漬物、チーズ、ヨーグルト、お酒などはこれらの菌の働きによって作られています。
突然ですが、今日食べた物を振り返ってみてください。
醤油、味噌、酢、みりん、酒(ワインやビール含む)、かつお節、漬物、パン、チーズ、ヨーグルト、生ハムなど、何かしら発酵食品を口にしていると思います。このように、発酵食品は日々の生活に根付いています。
ただし、発酵に時間がかかる調味料などを強制的に発酵熟成させた安価なものが増えてきているので、本物の発酵食品かどうか見極めることが大切です。かつお節、醤油、味噌を例に見ていきましょう。
1. かつお節
かつお節は3枚におろした鰹を煮ていぶし、日光で乾燥させてカビ付け(3~4回繰り返す)をして発酵させ、それを十分に乾燥させる工程を経て120日間ほどかけてやっと製品が出来上がります。カビ付けをして発酵させたかつお節は「枯節」「本枯」などと書いてあります。しかし、スーパーで売っているかつお削り節や花かつおなどは、鰹をいぶして、削っただけのものが多いです。これは発酵食品とは言えません。
購入の際には、原材料表示を確認し、枯節や本枯と書かれたかつお節を選ぶようにしましょう。こういったかつお節で取っただしを使って煮物などを作ると、自然に発酵食品を取り入れることができます。
2. 醤油
醤油の原料は大豆、小麦、塩です。麹菌や酵母菌などの働きを利用して、6か月以上の時間をかけて発酵・熟成させて造ります。しかし、大量生産して安価で売られている醤油は、時間をかけられないため、脱脂加工大豆や塩、小麦、アミノ酸、カラメル色素、甘味料、保存料などを添加して醤油を作っています。こうしてできた醤油は発酵食品とは呼べません。
3. 味噌
味噌は大豆に米や麦の麹と塩を加え、発酵・熟成させて作ります。本物の味噌は、店頭に並んでいる間も発酵を続けているので、冷蔵で販売され、また物によっては、袋が破裂しないように通気穴を施すなどの工夫がされています。
しかし、発酵を止める酒精や原材料以外の添加物が使われている味噌もたくさん販売されています。こちらは発酵菌が死んでしまっているので、発酵食品ではなくなってしまっています。
以上のように、かつお節、醤油、味噌には、見た目は同じようでも発酵食品とそうでないものがあるので、きちんと原材料表示を確認したいですね。
醤油も味噌も煮物、焼き物、和え物、汁物など、使い道が豊富な調味料なので、日々の生活に上手に取り入れて、発酵食品を摂っていきたいものですね。
次回は発酵食品の健康効果についてお届けします。
参考文献
発酵はマジックだ 小泉武夫 日本経済新聞出版社 2014
すべてがわかる!「発酵食品」辞典 小泉武夫・金内誠・舘野真知子 世界文化社 2013
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