前回は発酵食品の種類について解説をしました。
見直される伝統食材! 発酵食品と健康①
今回は、発酵食品の健康効果についてです。
発酵食品の健康効果
発酵食品は腸内の善玉菌のえさになり、腸の働きをサポートします。詳しく解説していきます。
腸内環境を整え、免疫力を高め、老廃物を排出する
人間の腸の中では、善玉菌、悪玉菌、日和見菌が日々勢力争いをしています。そして、免疫細胞の7割は腸に存在すると言われているため、悪玉菌が優勢だと便秘や肌荒れ、免疫力の低下による体調不良を引き起こします。
ヨーグルトや漬物などに含まれる乳酸菌や納豆に含まれる納豆菌は善玉菌を助け、悪玉菌の働きを抑制するので、積極的に摂取することで腸内環境のバランスを整え、免疫力を高め、老廃物の排出を促すのに役立ちます。
生活習慣予防やがんのリスクを下げる
味噌や醤油にはメラノイジンという抗酸化物質が含まれ、活性酸素を減少させる働きをします。味噌汁を毎日飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて胃がんの死亡率を下げる報告もあります。ほかの働きとしては、血中コレステロールを下げる、高血圧や動脈硬化を予防する効果があると言われています。
疲れにくく、ストレスに強い体を作る
味噌や納豆、キムチ、甘酒などには抗ストレス作用があるGABAという成分が含まれています。GABAは脳の興奮を鎮めたり、リラックス効果をもたらしたりします。また、酢には抗菌作用があるため、悪玉菌を抑えてくれます。これによって腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になると、便秘が改善され、疲労の原因となる活性酸素の発生が抑制されます。さらに、酢に含まれるクエン酸や甘酒に多く含まれるビタミンB群は、エネルギー代謝を助けるので疲労回復やスタミナアップに効果的です。
毎日の食卓に欠かせない発酵食品。きちんとした発酵食品を食べ続けることによって、腸内環境を整え、様々な不調を改善し病気に強い体を作り、健康的な食生活を過ごしましょう。
参考文献
発酵はマジックだ 小泉武夫 日本経済新聞出版社 2014
すべてがわかる!「発酵食品」辞典 小泉武夫・金内誠・舘野真知子 世界文化社 2013
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