今回の旬の野菜は8月に旬の「とうがん」です。
とうがんの歴史、名前の由来
とうがんはウリ科の1年草です。
原産地はインド、東南アジアで、日本には5世紀ごろ中国から朝鮮半島を経て伝わり、日本現存最古の薬物辞典である「本草和名」には、「白冬瓜」「一名冬瓜」と記されています。平安時代には既に栽培されていたようです。
とうがんの名前は、漢名の「冬瓜」の音読みの「とうが」が、なまったものと言われています。
とうがんの古名であり、また京都や能登などに今もなお残っているのが「加毛宇利(かもうり)」。かもうりの名前も「本草和名」に和名として記されています。自家用として作られているとうがんで、かもうりの「かも」は、毛氈(もうせん)のこと。若い果実には、やわらかい毛があることから付けられたものとされています。かもうりは、品種改良がされていないため、形が不揃いなのも特徴です。
奄美大島・沖縄本島では「ジブリ」、沖縄の宮古では「スーブ」、八重山で「スブル」など、さまざまな呼び名があるのです。
とうがんの栄養素
栄養価は高いとは言えませんが、カリウムとビタミンCを含みます。ウリ類の中では大型で、日本のものは30~50cmほどまで成長します。中国のものでは130cmになるものもあるようです。丸ごとのものは、どっしりとしていて重いもの。表面がうっすら白っぽく、粉をふいたようになっているのが果粉といって、完熟の目安になります。ただし、琉球種のものには果粉はつきません。ツヤがあるものを選びましょう。
Eatreatの栄養価計算機なら、旬の野菜もラクラク栄養価計算ができます↓
とうがんの栄養価計算結果へ
※計算結果は、会員登録(登録無料)すると見られます。
おいしいとうがんの選び方
スーパーなどの店頭で切ってあるものは切り口がみずみずしく、種がしっかりと詰まっているものがお勧めです。
丸のままなら皮が硬くて厚く、保存性がいいので、涼しいところに置いておくとかなり日持ちがします。夏に収穫したものが冬までもつことから「冬瓜」の名がついたとも言われています。切ってあるものは、ラップで包み野菜室で冷蔵しましょう。
とうがんの調理法
果肉はやわらかく、味やにおいもくせがなくてあっさりしています。縦にふたつに割って、スプーンで種をとるとスムーズに調理できます。皮をむいてから茹でましょう。いったん下茹でをすると、青臭さもなく、ほどよく水分も抜けるので味の沁み込みもよくなります。自然に冷ますことで、透きとおってきます。皮は料理によって薄くむくと薄緑色が残って、翡翠色の美しい仕上がりになります。
うま味のある食材と合わせての煮物、あんかけ、汁物、蒸し物、サラダに。調理後は温かいうちに食べても、冷やして食べても◎です。
中国料理では、とうがんの上部を切って、中をくりぬいて器にし、様々な具材とスープをいれて丸ごと蒸す料理もあります。アジアン風にココナッツミルクを使ってレッドカレーにしたり、洋風トマト煮にしても。また、麻婆豆腐の豆腐と同じ大きさのさいの目に切って、夏の麻婆として中華風にするのもおすすめです。
参考文献:
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『旬の野菜の栄養事典』 吉田企世子 エクスナレッジ 2016
・『野菜の仕入れ事典』 瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『地域食材大百科 第2巻』 農山漁村文化協会 2010
関連コラム
『10月15日は「きのこの日」 きのこの豆知識①』
『減塩に大活躍! 話題の「乳和食」について知ろう
』
『見直される伝統食材! 発酵食品と健康①』