高血圧は現代の「国民病」
40歳以上の日本人の半分が高血圧と言われていることをご存知でしょうか。
塩分(ナトリウム)の摂取が過剰になると、高血圧になりやすいと言われています。厚生労働省が発表している1日あたりの塩分摂取量の目標値は、健康な成人男性で8.0g未満、成人女性では7.0g未満です。また、高血圧学会が発表している1日あたりの塩分摂取量の推奨値は、男女ともに6g未満ですが、実際には、平均で男性は11.0g、女性は9.2gも摂取しているというデータがあります。
日本人の食塩摂取量が多いのは、醤油や味噌、漬物など塩分が高い調味料や食品を多用することが原因のひとつとされています。そんな中、世界的にも注目を集めるヘルシーな和食を、塩分を控えながらおいしく食べたいというニーズは高まっているのです。
和食に牛乳? 乳和食とは
そこで、最近話題になっているのが「乳和食」です。和食に牛乳を組み合わせることでコクやうまみをプラスし、物足りなさを感じることなく減塩できるというものです。
なぜ牛乳がいいの?
牛乳に豊富に含まれるカルシウムやカリウムは、血中のナトリウムの働きをさまたげることが分かっています。また、骨や歯の健康を保つためにはカルシウムが必須であるというのもよく知られています。
牛乳・乳製品の摂取量が多い方がメタボリックシンドロームのリスクが低い、牛乳を摂取することで食後血糖値の上昇がゆるやかになるなどの研究結果も明らかになってきています。牛乳は、高血圧にかかわらず、健康に気を遣うのであれば積極的に摂取したい食品といえるでしょう。
乳和食の調理法
乳和食の調理法には、だしにしたり、調味料をわったり、のばしたりとさまざまな方法があります。簡単に説明していきましょう。
1.だしにする
調理に用いるだし汁の全量または半量を牛乳に置き換える調理法です。
まろやかなコクが味に深みを与えるので、そのぶん調味料を減らすことができます。毎日のお味噌汁などに活用できる、最も手軽な方法です。
2.調味料をわる・のばす
塩分や味の濃い調味料を牛乳で薄めて減塩し、牛乳の旨味をプラスします。
3.ゆでる・ゆで戻す
野菜をゆでたり、乾物を戻すのに牛乳を使うことで甘みとコクが加わるので、そのあとの調味料を減らしてもおいしく仕上がります。
4.溶く
天ぷらの衣など、小麦粉を牛乳で溶くとカラッと仕上がります。サバ味噌煮の味噌も牛乳で溶くことで薄まり、減塩につながります。
5.酢を加える
温めた牛乳に酢を加えるとカッテージチーズと乳清に分離します。それぞれさまざまな料理に利用できます。
たとえば、乳清でご飯を炊くと適度な酸味がつき、すし酢を使う必要がなくなります。
くわしいレシピは(http://www.j-milk.jp/nyuwashoku/recipe.html)などを参考にしてみてください。
参考文献
・厚生労働省『平成25年国民健康・栄養調査結果の概要』
・平成26年度国民健康・栄養調査
(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou.pdf)
・「目からウロコのおいしい減塩 乳和食」小山 浩子 著 2013年 社会保険出版社
・「高血圧がみるみる改善する! 牛乳たすだけ減塩レシピ」小山 浩子 著 2014年 アスコム
・Jミルク乳和食サイト | 乳和食でおいしく減塩 - 一般社団法人 Jミルク
(http://www.j-milk.jp/nyuwashoku/)
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