高血圧は国民病?
現在、日本人の高血圧人口は約4300万人と言われ、その数は食生活の欧米化や人口の高齢化に伴い、今後も増加すると考えられています。
高血圧は、自覚症状がないまま進行し、そのまま放置していくと、脳血管障害や心臓病などの合併症とともに知らず知らずのうちに重症化してきます。
高血圧が『サイレントキラー』つまり『沈黙の殺し屋』と呼ばれる理由です。
高血圧のリスクは、血圧をコントロールすることで下げることができます。
塩分の摂りすぎに注意しましょう
歳を重ねると血圧が上がるのは仕方がないと思っている方は少なくありません。
加齢は確かに一つの要因ですが、そのほかにも血圧を上げる要因として、肥満や喫煙などさまざまな生活習慣が挙げられます。その中でも最も気を付けたいのが塩分の摂り過ぎです。
食事で食塩を摂ると、その食塩はナトリウムとして吸収されて、血管中のナトリウム濃度が上昇します。
本来、腎臓は余分なナトリウムを尿中に排泄することで、体液量を調整して血圧を維持していますが、食塩を過剰にとり続けると、体液量の調整が追いつかなくなり、血液中のナトリウム濃度は高いままになります。その結果、ナトリウム濃度を薄めようと、体内の水分が血液中に集まり、大量の血液を押し流すために血管の壁に高い圧力が加わって、高血圧になるのです。
このように、塩分の摂り過ぎは、血圧を上げて血管に負担をかけるだけではなく、腎臓や心臓の負担にも繋がるのです。
実は、日本人の1日の食塩摂取量は年々少しずつ減少しています。
2006年の食塩摂取量は成人男性12.4g、成人女性10.7gでしたが、2015年にはそれぞれ11g、9.2gとなっています。
ただし、厚生労働省の日本人の食事摂取基準2020年版では、食塩摂取量の目標値は成人男性は7.5g未満、成人女性は6.5g未満となっており、日本人の食塩量摂取量はそれよりまだまだ多いと言えます。
また、世界保健機構(WHO)では、2025年までに食塩摂取量5g未満にすることを提唱しており、世界と比べても、日本の摂取基準自体がかなり高いということが分かります。
ふだんの食事で減塩する場合は、まず、これまで普通に使用していた塩やしょうゆなどの調味料への意識を大幅に変えることが必要になってきます。毎日使うものだけに、ここを見直すことがとても大切なのです。しかし、いきなり塩分を大幅に減らし、まったく食べない! となると、味に物足りなさを感じて大きいストレスになり、長く続けることがつらくなっていきます。
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※2020.05.28 食事摂取基準の改定により、コラムを一部リライトしました。