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管理栄養士が普段の特定保健指導で活用できるような症例別の情報をお届けするシリーズです。今回は「腎臓病」についてです。
前回の『糖尿病』についてのコラムはこちら。
『糖尿病の方への指導 -より効果的な時間にするために-』 

腎臓の働き、腎臓病とは?

まずは腎臓の働きについて解説していきましょう。腎臓の主な働きは次の3つです。
①体内の老廃物を尿として排出
②体液の恒常性維持
③血圧調整や骨の代謝、赤血球の成長などに関わるホルモンの産生

腎臓病はこれらの機能が低下してしまう病気です。急性腎臓病では明らかな症状が出ることが多い一方、慢性腎臓病では、初期には自覚症状がなく何年もかけて徐々に進行していきます。肥満や食生活の乱れ、過度な飲酒、運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙などの生活習慣の乱れにより高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病にかかると、腎機能低下が進行しやすくなります。そのほか、糸球体腎炎、多発性嚢胞腎などの病気や加齢が原因となります。

腎臓病が長引くとどうなるか

機能低下が進行すると、浮腫み、夜間頻尿、だるさ、息切れなどの症状や、高血圧、貧血、骨粗鬆症などの症状を引き起こします。病状が進行して腎臓がほとんど機能しなくなると生命を保つことができません。そのために行うのが腎移植や透析療法です。多くの方が選択する血液透析は、週3回・4時間程通院して血液を入れ替える治療法です。それ以外の時間は腎臓が働いていない状態で過ごしているため、厳しい食事療法はもちろん、生活管理が重要になります。

腎臓病の食事・栄養摂取等で注意するポイント

食事療法は腎機能低下の進行を少しでも抑えることが目的です。そのために注意したいポイントは次の7つです。
①適切な食事は主治医や管理栄養士と相談しながら決定する
②十分なエネルギーを確保する
③減塩を心がける
④たんぱく質の摂り過ぎに気を付ける
⑤カリウムの摂取量に気を付ける
⑥水分の摂取量に気を付ける
⑦大幅な制限が必要なときには治療用特殊食品を利用する

腎臓病の食事で「特に」注意したいポイント

さらに腎臓病の食事で、特に注意したい2つのポイントを詳しく解説します。

○たんぱく質の摂り過ぎに気を付ける
たんぱく質は分解の過程で老廃物ができ、腎臓から排出されています。腎機能低下により老廃物が排泄されにくくなると、体内に老廃物が蓄積してしまいます。さらに、蓄積した老廃物が腎臓に負担をかけるという悪循環が起こります。ただし、身体に不可欠な栄養素でもあるため、適正な量に制限することが必要です。たんぱく質は特に肉や魚、卵、大豆製品に豊富に含まれますが、穀類や野菜、果物にも含まれています。普段食べる食品のたんぱく質量がどのくらいかを知り、自分にとっての適量を知ることが第一歩です。

○十分なエネルギーを確保する必要性
腎臓病の食事療法ではエネルギーを十分にとります。なぜなら、私たちのからだは不足したエネルギーを体内のたんぱく質を分解することで補おうとするからです。その結果、分解の過程でできる老廃物が増え、これが腎臓に負担をかけてしまいます。エネルギー量の目安は、 標準体重(身長(m)×身長(m)×22)あたり30~35 kcal/㎏ です。ただし、病状によっても異なりますので、主治医の指示に従いましょう。たんぱく質が含まれずにエネルギーが確保できる「砂糖、でんぷん、油」を上手に活用しましょう。

○そのほかに注意したい点
体内に入るものによって腎臓の働きが左右されます。
一般的な目安はあるものの、ひとりひとりの病状によって適切な食事は異なります。ですから、病状の理解とそれに合わせた食生活を実践するためには、患者さん自身と医師や管理栄養士の関わり合いが重要です。

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『高尿酸血症・痛風の食事療法』
『血圧を上げにくくする食事の工夫(予防のための食事)①』
『COPD(慢性閉塞性肺疾患)予防のための食事①』

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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      2003日前

      Eatreat編集部です。今回は特定保健指導で活用できる腎臓病についての知識です。

      拍手 2

WRITER

腎臓病の方への指導 -より効果的な時間にするために-

薦岡 ともよ

卒業後は痩身教室での栄養指導業務に従事。10~80代までの女性のべ200人ほどとカウンセリングを行い、食生活のヒアリングや食事指導・運動指導を行いました。 ダイエット目的ではなく健康を目的とした栄養指導を行いたく、転職。 転職後、運動施設や院内薬局併設の糖尿病治療を主とした内科医のもとで、生活指導に重点をおいた生活習慣病治療に携わり、食事指導・糖尿病教室実施のほか、MRによる勉強会や学会にも多数参加。 現在は、産業保健における健康管理に携わり、企業および健康保険組合とともに栄養改善に取り組む。特定保健指導は現在6年目に入り、のべ500人以上の社員と面談を行いました(情報提供・動機付け支援・積極的支援)。 企業・健康保険組合とともに、健康経営の一環として、食堂メニュー改善、全事業所への健康情報提供、栄養セミナー、栄養相談などを実施。健康診断結果の改善につなげています。会員向けサイトや健康情報サイトでの健康情報やレシピ開発、調味料メーカーでのレシピの栄養計算(ホームページ、書籍、Facebookなど)も。 プライベートでは一児の母で、地域施設にて離乳食座談会、離乳食講座などを実施しています。 保有資格 管理栄養士、日本臨床栄養協会認定サプリメントアドバイザー、THP産業栄養指導者 母子栄養指導士、妊産婦食アドバイザー、離乳食アドバイザー、幼児食アドバイザー

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