管理栄養士が普段の特定保健指導で活用できるような症例別の情報をお届けするシリーズです。今回は「高血圧」についてです。
特定保健指導で使える情報満載のコラムはこちら。
特定保健指導に関するコラム
高血圧とは
高血圧とは、血管を流れる血液が血管壁に与える圧力のことで、心拍出量と血管抵抗、血管の弾力によって決まります。心臓が縮み、血液が押し出されるときには強い圧力がかかります。これを収縮期血圧と言います。また、心臓が拡がるとき圧力は最も小さくなり、これは拡張期血圧と呼ばれます。
高血圧は、血圧が正常値より高い状態が続くことをいい、収縮期血圧が140mmHg以上または、拡張期血圧が90mmHg以上で高血圧と診断されます。高血圧の約90%が本態性高血圧で、遺伝や乱れた食生活、肥満など、さまざまな要因が組み合わさり発症します。残りは二次性高血圧で、腎疾患や内分泌疾患な原因疾患が元で発症します。
高血圧が長引くとどうなるか
血圧が高い状態を長く放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心疾患、腎疾患など多くの疾病を引き起こしてしまいます。高血圧はまれに、頭痛やめまいなどを起こすことがありますが、それ自体の症状を起こすことはほとんどありません。 そのため、治療せずに放置されることもありますが、命に関わる病気を引き起こすため、生活習慣の改善をはじめとした適切な治療が重要です。
高血圧の食事・栄養摂取等で注意するポイント
それでは、高血圧の食事・栄養摂取等で注意が必要なポイントを見ていきましょう。主に次の5つです。
①減塩を心がける
②適切なエネルギー量をとる
③野菜や果物をたっぷりとる
④主食・主菜・副菜をそろえたバランスの良い食事をする
⑤適度なアルコール摂取
高血圧の食事で「特に」注意したいポイント
特に注意したいのは、高血圧の改善や重症化予防に効果的とされる減塩です。高血圧の食事療法では、1日6g以下を目標とされています。一方で、日本人の食塩平均摂取量は男性10.8g、女性9.1gと目標に対して多く摂取していることがわかります。
このような現状の中で、適切な塩分摂取を心がけるために、誰でも取り入れやすいコツを3つ紹介します。
○食べ過ぎない
料理が薄味でも食べる量が多くなると、結果的に摂取する塩分量が多くなってしまいます。ですから、腹八分を心がけ、適切な体重を維持する量を心がけます。
○汁物を上手にとる
麺類のスープや味噌汁などには、塩分が多く含まれます。汁は残すようにしましょう。汁物の料理は、1日に1回を目安にすると良いでしょう。
○後がけの調味料は別添えにする
醤油、ソース、ドレッシングなど、後から味付けする際には、直接かけずに別添えにして使う量を調整しましょう。醤油やソースは、かけるのではなくつける、サラダのドレッシングは食べる直前に少量かけたり、ドレッシングは使わずに味の濃い料理と一緒に食べたりするなどが減塩のコツです。
こういった習慣を生活環境に合わせて取り入れていくことが大切です。
最後に
血圧は、1回測定した値に一喜一憂するのではなく、4~5日の平均を知ることで本来の血圧の状態を知ることができるため、自己測定の習慣をつけましょう。食生活の他にも運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙などさまざまな条件で変化します。生活全体を見直す中で、食生活においてもできる取り組みを行い継続することが大切です。
関連コラム
・『糖尿病の方への指導 -より効果的な時間にするために-』
・『腎臓病の方への指導 -より効果的な時間にするために-』
・『脂質異常症になりにくい食事の工夫①』