管理栄養士が普段の特定保健指導で活用できるような症例別の情報をお届けするシリーズです。今回は「低栄養」についてです。
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低栄養とは?MNA-SFとは?
低栄養とは、食思低下、咀嚼・嚥下困難、活動量低下、認知症、食環境などさまざまな原因により、食事摂取量が減少し、体重低下、必要栄養量の充足が困難になる状況のことを言います。
低栄養のスクリーニング、アセスメントツールは複数存在しますが、今回はMNA-SFについて紹介します。
MNA-SFは、高齢者の低栄養を判断するスクリーニングツールとして使うことができます。チェック方法は、
① 食欲不振・食事量の減少
② 体重減少
③ 自力で歩けるか
④ 精神的ストレス・急性疾患の有無
⑤ 神経・精神的問題の有無
⑥ BMIもしくはふくらはぎ周囲長
という以上6項目で行い、チェックされた項目のスコアの合計より
a.栄養状態良好
b.低栄養の恐れあり(At risk)
c.低栄養
の3段階に分けられます。
MNA-SF以外にも多くの栄養指標がありますが、各指標によって異なる特徴がありますので、複数の指標を組み合わせて総合的に判断されることが望ましいと思います。
低栄養が長引くとどうなるか
体重減少、筋肉量・筋力の低下、易感染様、褥瘡・脱水のリスクが高まるなどがあります。それらが重なることにより、更なる活動量の低下などを招き、負のスパイラルに陥りかねません。
低栄養の食事・栄養摂取等で注意したいポイント
まずは、上記で紹介したようなスクリーニングツールを使うなどして、早い段階で変化に気づくことが重要と考えます。介入する時期が早ければ早いほど、改善率は良くなるとの報告があります。
注意するポイントは原因によりますので、ここでは一例を挙げます。
① 少量で高カロリー
② 頻回食
③ 食べやすい食形態
④ 制限食を見直してみる
⑤ デイケアなどを利用し、孤食を避ける
などです。
低栄養の食事で「特に」注意したいポイント
上記の「④制限食を見直してみる」についてですが、80歳、90歳の生活期の高齢糖尿病患者さんに対して、厳密な血糖コントロールは必要なのでしょうか。状況にもよるとは思いますが、生活期であることを考慮すると恐らく答えはNoであると考えられます。他の疾患についても言えることだと思いますが、極度の食事制限は食思低下の原因になる可能性があります。原因として考えられる場合には、主治医と相談し、制限の緩和を図ってもよいのかもしれません。
恐らく、対象者によって対応は異なってくるので、個々に合わせた細やかな対応が必要となるでしょう。
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