前回のコラムはこちら
血糖値を上げにくくする食事の工夫①
ここからは、血糖値を上げにくい食事の摂り方について具体的にお話します。
血糖値を上げにくい食事の摂り方
まず、食事は決まった時間に食べることがポイントです。
血糖値は食後に上がり、1時間後には下がり始めて、2~3時間後には元に戻ります。
このリズムが乱れると、膵臓に負担がかかります。欠食してドカ食いをする、空腹時間が長くなる、身体に脂肪をためようとして肥満へ…というサイクルに陥りやすくなるのです。
また、夕食の時間が遅い、量が多いなどの場合、そのまま眠ると、食べた分のエネルギーが消費されずに脂肪として蓄えられるので、太りやすくなります。間食が多いことも、血糖値を高めの状態にしていきます。
こういったインスリンの分泌の乱れは、食後血糖値の乱れ、ひいては糖尿病の発症に繋がるといえるのです。
※糖尿病発症のメカニズムなどついて、詳しくはコラム「糖尿病ってどんな病気?」を参照してください。
血糖値対策の食事の摂り方として、野菜から先に食べるということも大切です。
まず、野菜には小腸内で糖質の吸収を緩やかにする食物繊維が多く含まれているので、食後の急激な血糖値の上昇を抑えてくれます。ただし、ドレッシングなどの調味料は控えめにしましょう。
また、特に高齢者の方で気を付けたいのは、歯が悪くなることで、柔らかい食べ物に偏っていきやすいということです。
柔らかい食べ物は食物繊維が少ないものが多く、また、たくさんの量を一気に食べやすいため、肥満になりやすいと言えます。そういった食生活により、血糖が高い状態が続きやすくなるため、歯の健康にも気を付けたいですね。
果物は、野菜と同様、食物繊維やビタミン・ミネラルを多く含んでいますが、糖度が高い果物は、血糖値の上昇や、血中の中性脂肪の増加を招くことがありますので、食べ過ぎないようにしましょう。また、干した果物・缶詰はさらに糖度が高いため、果物というよりはお菓子を食べたと考える方がいいでしょう。
完璧を目指さず、少しずつ
糖尿病対策の食事のポイントは、完璧を目指さないことです。
運動不足・不規則な食生活・肥満・多量飲酒・喫煙・水分不足・ストレスなど、生活習慣病の原因は色々なものが挙げられます。取り組みやすいことから実践してみましょう。
「できるだけ、なるべく○○しよう。もし、今日できなかったら明日からやればいい…」というくらいの気持ちでいいのです。これができなかったから、もうダメだ! とは考えず、少しでも成果が出たら、自分を褒めてみましょう。
大事なのは、失敗しない事ではなく、失敗したらそこから立ち直ることです。
体重に変化がなくても、数字に惑わされずに、今日も間食しなかった! とポジティブにとらえる姿勢が大切なのです。
また、様々な健康に関する情報があふれている現代は、「健康にいい」と言われている食品を食べ過ぎていることもあるので注意が必要です。
新しい情報をすぐに実践してみるという方で、現状の食事に満足していない、減量がうまくいかないなどの場合は、健診等の機会にご自身の現在の摂取量が適正なのかを栄養士や医師に相談することをおすすめいたします。
参考文献
・『糖尿病治療ガイド2016-2017』日本糖尿病学会 文光堂 2016
・『健康診断が楽しみになる!血糖値を自分でらくらく下げる本(行くぜ!健診)』片山隆司 主婦の友社 2017
・『栄養と料理2016年11月号』女子栄養大学出版部 2016
・『ヘルシーダイアリー 2017』公益社団法人 日本栄養士会
関連コラム
糖尿病の栄養指導-食事のお話をする際のポイント①
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは①~どんな検査?
糖尿病の食事指導の行い方