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第47回日本高血圧学会総会 学会レポート~後編~では、管理栄養士・栄養士として知っておきたい“デジタル技術の活用―新しい血圧管理のかたちー”をご紹介します。
前編のコラムでは、管理栄養士・栄養士として知っておきたい話題をピックアップしております。こちらもぜひご覧ください。

【デジタル技術の活用】JSH2025に準拠し、生活習慣改善までサポート“CureApp HT 高血圧治療補助アプリ”

保健指導などの現場では、対象者が血圧が高いことで受診しても「様子を見ましょう」「薬を飲むほどではありません」といった対応で、治療に至らないケースをよく耳にします。毎年健康診断で「再検査」となり、都度受診しても同様の対応が続くと、いざ治療が必要となったときに受診の必要性自体が曖昧になりかねません。
こうした課題に対しても「CureApp(キュアアップ)HT 高血圧治療補助アプリ(以下、高血圧治療補助アプリ)」は、解決の糸口となる可能性を秘めています。

高血圧治療補助アプリとは?

保健指導の現場でもICTの活用が急速に進む中、医療現場においても「治療アプリ」の実用化が、欧米を中心に世界各国で進んでいます。 高血圧治療補助アプリは、2022年4月に薬事承認を受けた治療アプリで、高血圧症を対象としたアプリとしては世界初となります。さらに、同年9月には保険適用となり、現在では全国の医療機関での活用が広がりつつあります。

アプリの特徴

<患者側のメリット>
① PHR(Personal Health Record)として活用:血圧・脈拍・体重・睡眠時間などの記録が可能で、患者自身が日々の変化に気づきやすくなります。
② オリジナルキャラクター「千里(ちさと)さん」が、高血圧に関する知識や、患者さんの課題に応じた生活習慣改善のポイントをわかりやすく紹介します。行動変容を促し、習慣化へと導くことで、継続的な健康管理をサポートします。
③ 千里さんが日々の生活に寄り添いながら、具体的な改善策をアプリ上で提示することで、実践の継続や受診意欲の向上にもつながります。

<医師・医療従事者側のメリット>
① アプリ上で患者のPHR(Personal Health Record)を閲覧でき、記録の推移をグラフで確認することで、より質の高い治療につなげることができます。
② 患者の様子やグラフなどを一覧できるレポートを作成し、コメントの記載やフィードバックを可能とします。
③ 要件を満たせば、生活習慣病管理料Ⅱ等と併算定が可能です。

今後の可能性

これまでの高血圧治療では、特にⅠ度高血圧の場合、生活習慣改善が基本となるため、尿中ナトリウム値から推定された塩分摂取量もしくは血圧が高いことから「塩分を控えましょう」といった漠然とした対応が中心でした。しかし、高血圧治療補助アプリの活用により、ただ「塩分を減らす」だけでなく、どこで減らすことが適正なのかを具体的に示すことで個々の生活習慣に落とし込みやすく、実行可能性の高い行動変容につながります。
また、すでに導入している医療機関では、レポートを医師だけでなく管理栄養士も患者の状況を確認した上でコメントを記載しているケースもあると耳にしており、チーム医療の視点からも有用性が期待されます。

まとめ

JSH2025の発表に伴い、今回の学会総会では、睡眠時血圧測定やナトカリ比を測定する機器など、新しい話題が盛りだくさんでした。また、栄太郎あめのプレゼントなどのイベントもあり、とても有意義な3日間でした。まだまだ伝えたいことはありますが、今回はその一部をご紹介させていただきました。



参考文献
・日本高血圧学会 高血圧治療補助アプリ適正使用指針作成部会 高血圧治療補助アプリ適正使用指針 (第1.1版)
https://www.jpnsh.jp/files/cms/790_1.pdf  (閲覧日:2025年10月)



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WRITER

【学会レポート~後編~】第47回日本高血圧学会総会

松岡 喜美子

循環器病予防療養指導士 かがわ糖尿病療養指導士,ベーシックインストラクター(JCCA)、貯筋運動指導者、歯科栄養アドバイザー2級 大学卒業後、糖尿病クリニックでの栄養指導に従事しながら健康運動指導士を取得。 2008年よりフリーとしての活動を開始。 特定保健指導の立ち上げからスタッフ育成などにも携わり、これまでの指導件数は1万件以上。 生活習慣病予防セミナーの講師や企業やスポーツクラブでの運動指導なども行っている。 その他、企業HPのコラム執筆なども担当し、健康情報の発信や商品マーケティングなども行っている。 「栄養不良の二重負荷」という問題に対して、世界に貢献できる管理栄養士を目指しています。

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