今回は、災害前の準備期の心がけや準備するものについて解説します。
前回はこちら。
災害時の糖尿病患者さんへの準備や心構えのポイント①
時期によって心がけることや準備するものが少し異なります。災害の種類によっても変化してくると思います。ご自身が置かれている状況によって参考にしてみて下さい。
準備期:今できることをする
『いつかやろうではなく、常に備えよう』、が大切です。普段からの準備が被害を最小限にします。
非常用持ち出し袋に入れる物
①飲み薬1週間分
②インスリン各1本・針
インスリンは、病院で新しいものをもらってきたら取り替えましょう。一カ月程度は常温で問題ないと言われています。
また、インスリンポンプ(CSII)の方も、ペン型インスリン2種類と、針を入れておくといいでしょう。
③おくすり手帳(写し)
④糖尿病連携手帳(写し)
⑤自己管理ノート(SMBGノート)(写し)
携帯電話・スマートフォンのカメラで、おくすり手帳・糖尿病手帳・インスリン・薬などを撮影して、常に携帯しておくのもいいでしょう。
⑥非常食
1日分として、飲料水2Lと3食分の食事を入れておきましょう。
飲み薬の名前を1文字でも2文字でも覚えていたり、インスリンの注射の色や正式名称を覚えていると、便利です。そして、普段の自分のだいたいの血糖値や、例えば、おにぎり2個食べた時の食後の血糖値はどのくらいか知っておくのもいいでしょう。
帰宅困難の対策
食べ物は手に入りますが、薬はなかなか手に入りません。歩いて帰ることができない所に出かける時は、以下のものを、必ず持ち歩きましょう。
①飲み薬は最低3日分。
②インスリン注射薬を数種類使用している場合は各1本
③ビスケットなど携帯できるもの
ローリングストックのすすめ
日常的に使っている缶詰やレトルト食品などの保存食を賞味期限の古い順から使い、その都度新しいものを補充していくことを、「ローリングストック」といいます。
ローリングストックは、その名の通り、回転食・押し出し食という意味があります。長期保存可能な非常食は種類に限りがあり、また味が合わない事も想定されます。災害時でも普段から使い慣れている缶詰やレトルトパウチなど活用できるように、1か月に1回を目安に、非常食ごはんの日を決めるなど、保存食を定期的に入れ替えてみましょう。
どのくらい用意をするのか?
食料品…最低3日分+もう1食分あるといいでしょう。…家族の人数×3日分
水…水はとても貴重です。節水がポイントになります。ちなみにトイレタンクの中の水はおよそ8Lです。
緊急時のために覚えておくといいでしょう。
ストックしておくとよいもの
1日ごとに分けて、分散して保管しておくと便利です。
①飲料水
②缶詰類:トマト缶・さば缶・大豆の水煮缶・果物缶…手で開けられるタイプ
③乾物:お麩・乾燥わかめ・のり・とろろ昆布・干しえび・干しシイタケ・顆粒だし
④インスタント食品:即席みそ汁・レトルトカレー
⑤バランス栄養食:ブロックタイプクッキー・野菜100%ジュース
※サプリメントの常備については、主治医に相談することをおすすめいたします。
⑥調理器具:ビニール袋・ラップ・キッチンばさみ・割りばし
※ビニール袋:水をためたり、トイレの代わりになることも。
※ラップ・・・おにぎりをにぎったり、皿の上に引敷いたりできます。
避難所での生活は衛生面など、食中毒になりやすい環境でもあるのですのでうまく活用していきたいですね。
⑦常備薬
1型糖尿病の方は、生きるためにインスリンを使用しています。常備薬は透明のタッパーに入れることで、誰でも中身がわかり、モノが倒れたりした際に、重さにも耐えられるという利点があります。
一か所にまとめて置くと、タンスなど倒れた時にとれなくなる場合もあり、分散させて置いておくといいとも言われています。さらに震災以降、枕元に置いている方もいます。また、災害時は水を運搬したり運動量も多くなるため、低血糖になることも考えられます。普段から、主治医と相談しておくのも大切なことなのです。
③では、災害が起こってからの超急性期・急性期・亜急性期にそれぞれ心がけることや準備するものについて解説します。
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