今回の旬の野菜は秋に旬を迎える「チンゲン菜」です。
チンゲン菜の歴史
チンゲン菜はアブラナ科の越年草です。和名は「たいさい」で、別名を「青茎パクチョイ」、「青軸パクチョイ」とも言います。中国野菜のひとつで、葉柄(茎)が淡緑色の小白菜(シャオバイツァイ)の一種です。白菜のように結球はしない白菜の仲間になります。
1978年(昭和53年)に、農林水産省食品流通局により、中国野菜などの新野菜について統一名称が定められて、葉柄が淡緑色のものを「青梗(チンゲン)菜」、白色のものを「パクチョイ」と呼ぶようになりました。「青梗菜」という名称は、中助(梗)が青い、ということです。
原産地は、地中海からパキスタンにかけての地域、中国西南部という説があります。
日本で作られるようになったのは、1960年頃からと言われています。日中国交回復をきっかけに、1972年頃からの中国野菜ブームに乗って、一般的にも食べられるようになりました。パンダとともに人気急上昇というところでしょうか。チンゲン菜は寒暖差に強く、生育も早いので、日本で最も定着した中国野菜になります。
チンゲン菜の栄養素
チンゲン菜は、カロテン、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンCが豊富な緑黄色野菜になります。カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維も多く含まれています。
中心部の根元は「胚軸」と呼ばれていて、うま味が詰まっています。
カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変わります。ビタミンAに変わらなかったカロテンは、抗酸化作用を発揮して、免疫力の強化に役立っているのです。チンゲン菜にはカロテンと一緒にとると、この抗酸化作用を高め合うことができるビタミンC、ビタミンEが多い「ビタミンACE」野菜となります。暑い時期の貴重な葉野菜なのです。
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おいしいチンゲン菜の選び方と保存方法
葉の幅が広くツヤとハリがあって、葉脈がはっきりしていて黄色く変色していないものがお勧めです。葉と葉の間隔が詰まっているものや、茎も幅広く肉厚でしっかりとしていて、根元は丸みがあり、どっしりしているもの、つぶれていたり傷がついていたりしないもの、切り口が渇いていないものがいいですね。
チンゲン菜は葉物の中では日持ちがいい方です。ただし、水分が多くてしおれやすいので、シャキシャキとした食感を楽しむために、ポリ袋に入れて野菜室で冷蔵するのがいいですね。時間の経過とともに、葉が変色や、葉柄に「す」が入ってくるので、早めに使いきりましょう。
チンゲン菜の調理方法
根元は土の汚れが多いので、十分に洗ってから使いましょう。チンゲン菜はくせがなく食べやすいのが特徴です。アクがないので下茹でしなくても大丈夫です。白菜と同じように使うことができるので、炒め物、あんかけ、煮込み、スープ、おひたし、サラダ、鍋物などにいいですね。葉の部分に比べて茎は肉厚なので、用途によっては葉と茎に分けて使うといいでしょう。調理しても、煮くずれにくく、あまりかさも減りません。加熱する時は電子レンジでもOKです。
チンゲン菜でしゅうまいも
しゅうまいを作る時、皮の代わりに下茹でしたチンゲン菜をスプーン型になっている丸みのある茎に具材を乗せてくるくると巻くと、葉の幅が広いので巻き終わりがピッタリとくっつきます。巻いたものを皿に並べて、ふんわりとラップをし、電子レンジで具材に火が通るまで加熱すると、チンゲン菜しゅうまいができます。具材を用意するのが難しい時は、冷凍のギョーザなど半分に切って具材にしてもOKです。彩りも良く、野菜も一緒にいただけます。レンジで調理した後、お皿においしいだしが出るので、鍋に移して、量や味を調整しながらとろみをつけ、あんをかけて仕上げれば、おもてなし料理にもなりますよ。
参考文献
・『とれたて大百科』 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『いつもの野菜まるごと百科 やさいの教室』 かんき出版 2016
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『地域食材大百科 第2巻』 農山漁村文化協会 2010
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