今回の旬の野菜は8月に旬の「さやいんげん」です。
さやいんげんの歴史と名前の由来
さやいんげんはマメ科の1年草です。いんげんまめの若いさやのことを言います。
いんげんまめの原産地は、メキシコ中央部からグアテマラ・ホンデュラス一帯です。なんと、紀元前の遺跡からも発見されています。インディオによって栽培化され、肉食の少ない原住民にとって重要なたんぱく源でした。コロンブスの新大陸発見によりヨーロッパに伝わり、北米へと広がったとされています。
日本には、江戸時代に将軍徳川家綱の招きで、明から渡来した隠元禅師(宇治・万福寺の開祖)が、日本に持ち帰ったとされています。このことから、和尚の名にちなんでと名前がついたとされていますが、隠元和尚が持ち帰ったのは「ふじまめ」だったという説もあり、実際のところ定かではないようです。
栽培期間が短く、1年に三度収穫ができることから、関西では「三度豆」と呼ばれています。
別の説では、関西では「ふじまめ」のことを「いんげんまめ」、いんげんまめを「三度豆」というとされています。
さらに別の説では、「ふじまめ」も隠元和尚が伝えたのではなく、すでに王朝時代よりあったとも言われているなどなど…どこまでもミステリアスな野菜です。北海道では「菜豆(さいとう)」とも呼ばれています。
また、「十六ささげ」など、さやを食べるタイプのささげは、さやいんげんに似ていますが、同じマメ科でも別の種群に分類されます。
さやえんどうの栄養素
さやえんどうは、未熟な豆をさやごと利用します。たんぱく質が多く、さらにカロテン、ビタミンB1、B2、カリウム、食物繊維など栄養価が高い野菜です。一度に食べる量も比較的多くなる緑黄色野菜となります。青ものが少ない夏場には重宝する野菜なのです。
アスパラギン酸や、野菜に少ないリジンなどのアミノ酸も多く、エネルギー代謝や肝機能を高めたりするのに役立っています。
マメ科の野菜は、根に寄生する根粒菌の影響で、肥料が少ない土でもよく育ちます。反対に肥料(特にチッ素)が多すぎると、茎や葉が茂って、さやのつきが悪くなる「つるぼけ」を起こすことがあります。
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おいしいさやえんどうの選び方
小型で緑色の濃いもの、皮にふっくらとハリがあり、ポキっと折れやすいもの、先端の細い部分がピンとしているものがおすすめです。
表面に黒い斑点やシミのあるものは控えましょう。さやがでこぼこしたものは種子が生長したもので、さやが硬くなってシワがより、湾曲していることが多くなります。中の豆の形が出過ぎていないもの、黄色くなったりしてないものがよいですね。鮮度が下がると黄色くなり栄養価も下がってきます。
さやえんどうの保存方法と調理法
ポリ袋に入れて野菜室で冷蔵して保存します。低温に弱いので、早めに使いきりましょう。
筋があるものは、端を少し折って筋をとりましょう。茹でる時は、さっと茹でます。箸で持ち上げて、少ししなる程度が目安です。茹でる前に、塩をまぶして板ずりをすると、表面のうぶ毛もとれて、色鮮やかに仕上がります。炒める時は生のまま使いましょう。
おひたし、ごまやピーナッツ和え、たらこ和え、サラダにしてもおいしいです。煮物はさっと煮ても、くったりと煮てもお好みで。天ぷら、汁物に、バスタ、カレー、シチューの彩りにもよく使われています。
参考文献:
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表201』6 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『新・野菜の便利帳 健康編』 名取貴光 高橋書店 2016
・『野菜の仕入れ事典』 瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『野菜園芸大事典 第4版』 養賢堂 1988
・『趣味の園芸 やさいの時間』 2017年5月号 NHK出版 2017
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