今回の旬の野菜は5月に旬の「そらまめ」です。
「そらまめ」は世界最古の農作物の一つ
そらまめはその名の通り、マメ科の野菜です。原産地は、大型種はアフリカ北部、小型種は中央アジアとされています。
スイスの青銅器時代の遺跡から発見され、古代エジプトやギリシャでも栽培されたと言われています。また、中国では「胡豆」とも呼ばれ、2000年以上も昔から栽培されてきたそうです。世界最古の農作物の一つとも言われています。
日本への伝来は諸説あり、天平年間聖武天皇の時代(729~749年)に、インドの僧侶が中国を経て来日した際、一袋の種子を行基菩薩に伝え、菩薩が兵庫県武庫村の岡治氏に試作させたのが起源とされています。一般的には、初めてその名が出たのは「多識篇」(1631)に、とされており、明治初年には勧業寮によって、欧米系の品種が導入されたと言われています。
「そらまめ」の名前の由来
そらまめの名前は、さやが空に向かうように直立するところからきています。「天豆(てんまめ)」とも呼ばれます。実が大きくなって重たくなると、さやは徐々に下を向いてきます。「蚕豆」とも書くこともあり、養蚕期の頃に豆が実るから、または、さやの形が蚕(かいこ)に似ているからとも言われています。
おたふく豆という呼び名も
そらまめは未熟な豆を野菜として利用する菜豆の仲間になります。完熟豆は、乾燥豆として利用されます。豆は成熟すると、種子として次世代を育てる性質があります。豆類が一般に栄養価が高いのはそのためという事ができます。そらまめには極早生(ごくわせ)から晩生(おくて)まで、品種がたくさんあります。
一般的に、栽培期間が短い早生種は粒が小さく、じっくり育てる中生(なかて)種や晩生種の方が、粒が大きく食べごたえもあると言われています。
形から「おたふく豆」という呼び名もありますが、通常おたふく豆というと、乾燥したそらまめ、または乾燥したそらまめの黒砂糖煮を指すことが多いようです。
「そらまめ」の栄養
成熟したそらまめには、たんぱく質、糖質、食物繊維が多く含まれています。
ビタミンでは、カロテン、ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸などが含まれ、ミネラルでは、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅など多種類のものが豊富に含まれています。
中華料理に欠かせない調味料の豆板醤は、そらまめが原料になります。刻んだ唐辛子と塩とそらまめを混ぜ合わせて熟成させたものです。また、大豆の代用品として、味噌、しょう油の原料にも利用されていました。
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おいしい「そらまめ」の見分け方
そらまめのさやの中は、ふわふわの綿のようになっていて、まるで豆が大切に扱われているように見えます。
そらまめは豆類の中でも、鮮度の低下が早いため、おいしくいただけるのは3日と言われています。さや付きのものを買うのがおすすめです。さやが緑色でみずみずしくツヤがあり、シワがなく弾力があるもの、背筋の部分が変色していないもの、さやの外からも豆の形が揃っているとわかるもの、そして、中の綿状のものが溶けたりしていないものを選びましょう。
むき実は、豆の大きさが揃っていて、ふっくらして、つめが黒くなっていないものがやわらかくて新鮮です。つめが黒くなっていないものは、早採りして、まだ実が若い状態のものです。
「そらまめ」のおいしい調理法
茹でる時は、つめが黒いものを先に、緑色のものを後から湯に入れると、茹で具合が揃っていいでしょう。茹で時間の目安は2分。早く使いきることが原則になりますので、茹で上がってから時間をおかずに食べることが、おいしく食べるポイントになります。軽く硬めに茹でて冷凍してもいいでしょう。
そらまめは、さやから出すと水分の蒸散が激しく、すぐに硬くなるので、調理の直前に取り出すとよいでしょう。
塩茹での他に、煮物、あんかけ、スープ、炊き込みご飯、かき揚げ、ソテーなどもおすすめです。さやごと焼く、焼きそらまめも絶品です。また、鮮度がいいものは、綿も食べられます。アンチョビやペペロンチーノと合わせたり、コロッケ、マリネにしたりしてもいいですね。マリネは食べる直前に合わせれば変色せずに、おいしくいただけます。ぜひ試してみてください。
参考文献
・とれたて大百科 JAグループホームページ https://life.ja-group.jp
・『七訂 食品成分表2016』 女子栄養大学出版部 2016
・『野菜の効用事典』 山口米子 大滝 緑 明治書院 2005
・『新・野菜の便利帳 健康編』 名取貴光 高橋書店 2016
・『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 高橋書店 2016
・『野菜の仕入れ事典』 瀬戸達和 旭屋出版 2008
・『簡明食辞林 第2版』 樹村房 1997
・『地域食材大百科 第2巻』 農山漁村文化協会 2010
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