鉄分が豊富な食材といえば?
貧血予防にも効果的な鉄分は、特に女性が積極的に摂りたい栄養素のひとつです。その鉄分を補給するためには、動物性食品の場合はレバー、植物性食品の場合はひじきなどが有効な食材といわれてきました。しかし、ひじきが鉄分豊富であるという話は昔の話で現代はそうともいえないようです。
ひじきの鉄分が9分の1に激減!
2015年の末、日本食品標準成分表の改訂版が文部科学省によって公表されました。これが日本食品標準成分表2015年版です。これまで、干しひじきに含まれる鉄分は、58.2mg/100gとされてきましたが、2015年版の成分表では、6.2mg/100gとされ、改定前の9分の1に激減してしまいました。一体なぜでしょうか?
製造法の違いが鉄の含有量を左右する
文部科学省によると、ひじきに含まれる鉄分の差は製法の違いによるものと発表しています。干しひじきは原料となる海藻(生ひじき)を一度煮て、乾燥して製造されます。これまで、ひじきを煮る工程には鉄釜が使われていましたが、現在では鉄製ではなくステンレス鍋が使われるようになったそうです。この製造時に使用される器具の違いにより、ひじきに鉄分含有量が減ってしまったとのことです。この結果を踏まえ、2015年版の成分表では、干しひじきの項目を①ステンレス釜(乾)、②ステンレス釜(ゆで)、③テンレス釜(油いため)、④鉄釜(乾)、⑤鉄釜(ゆで)、⑥鉄釜(油いため)と6つに細分化し、成分値を記載しています。
現在の製造法では以前の鉄含有量の9分の1というのは、とても残念な結果です。しかし、ひじきは低カロリーで食物繊維が豊富な食材ですので、現在の日本人が積極的に摂りたい食材であることには変わりはありません。また、考え方を変えれば、日常使いのフライパンや鍋を鉄製のものにすれば、ひじきに頼らなくても、日々の食事で鉄分が補えるということになります。現代では、使い勝手のよさなどから、フッ素加工の鍋が非常に人気ですが、何かひとつだけでも鉄製のものに変えてみるのもいいかもしれません。鉄鍋で作ったひじきの炒り煮を常備菜にして、ご飯やハンバーグ、卵焼きに混ぜ込んだりして毎日少しずつ摂取するのもオススメです。
注記
日本ひじき協議会は文部科学省の見解とは異なり、製造時に使用する釜の材質の違いによる鉄分の差異はないと推測すると発表しています。
参照URL:http://www.hijiki.org/html/content/about-20160107.html
参考文献
日本食品標準成分表2015年版(七訂) 文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm
日本ひじき協議会HP
http://www.hijiki.org/
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