COLUMN

食品の情報を知る上で最も身近な手段である食品表示は、改正される食品表示基準を追いかけ、その都度ルールに基づいて表示しなければなりません。本コラムでは、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン原料原産地表示制度をピックアップし、従前ルールからの変更ポイントを解説します。

食品添加物とは

食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工や保存の目的で使用されるものです。安全性と有効性が確認されている「指定添加物」、長年使用された実績がある「既存添加物」、動植物から得られた「天然香料」、食品として飲食するものを添加物として使用する「一般飲食物添加物※1」の4つに分類されています。

※1 イカ墨を着色料として使用する、ナタデココを増粘安定剤として使用する、など

食品添加物の不使用表示に関するガイドラインが公表!

食品表示基準では、食品添加物が使用される際の表示ルールは定めているものの、不使用である旨の表示に関する規定は特段ありませんでした。そのため食品関連事業者は、容器包装に任意で「無添加」や「添加物不使用」等の表示をしていました。

上記のような曖昧な実態であるにも関わらず、商品選択の際に食品添加物の不使用表示がある食品を購入する消費者がいること、誤認のリスクがある商品が存在していることが問題視され、令和4年3月30日に食品添加物不使用表示に関するガイドラインが公表されました。

本ガイドラインでは、食品表示を作成する際の留意すべき10類型が下記の通りまとめられています。そして各食品関連事業者には、令和6年3月末までにガイドラインに沿った食品表示の見直しを行うことが求められています。

原料原産地とは

原料原産地とは、すべての加工食品の「食品に占める重量割合が最も大きい原材料の原産地」を示す用語です。加工食品の製造に用いる原材料の仕入れ先が日本全国、世界各国へと拡大するにつれて、原材料の原産地も考慮した上で商品選択をしたいとの消費者の意識が高まっています。実際の加工食品の原料原産地表示例をお示しします。

原料原産地表示制度が改正!

原料原産地の表示については、平成12年に「梅干し」と「らっきょう漬け」を対象に義務付けたのが始まりです。安価な輸入品の急増に対して、産地から表示義務化の強い要望があったことが背景にあります。その後も食品表示に関する共同会議やパブリックコメントを通して、対象品目を順次拡大していき、改正前には22の食品群と4つの品目が対象となっていました。

直近では平成29年9月に原料原産地表示制度が改正され、国内で製造されたすべての加工食品を原料原産地表示の対象とすることがルールとなりました。

この改正の施行は令和4年4月のため、すでに経過措置期間は終了しており、現在は現行ルールに基づいた食品が販売されています。


本コラムでは、食品添加物の不使用表示に関するガイドライン原料原産地表示制度の変更ポイントをご紹介しました。次回は、しいたけの原産地表示の改正アサリの原産地表示ルールの厳格化について解説します。


参考文献
・桑崎俊昭:「改訂新版 早わかり食品表示法」第3版、公益社団法人日本食品衛生協会、(2021年)
・消費者庁:「早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け) 」、消費者庁、
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms202_230324_02.pdf、(閲覧日:2024年1月14日)
・消費者庁:食品添加物不使用表示に関するガイドライン」、消費者庁、
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf、(閲覧日:2043年1月14日)
・農林水産省 消費・安全局消費者行政・食育課:「新しい原料原産地表示制度-事業者向け活用マニュアル-」、農林水産省、
https://www.maff.go.jp/j/syouan/hyoji/attach/pdf/gengen_hyoji-6.pdf、(閲覧日:2024年1月14日)




関連コラム
食品表示法を解説!従前ルールからの変更点①
食品表示の役割と表示方法を知ろう



みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      286日前

      管理栄養士 大内美幸さんにご紹介いただく「食品表示の基本を解説!」シリーズ。今回は、食品添加物の不使用表示に関するガイドラインと原料原産地表示制度についてです。

WRITER

大内 美幸

Eatreat株式会社/コミュニケーションマネジャー 認定栄養CS Eatreat/代表管理栄養士 レシピ動画アプリや献立作成アプリなど、多くのIT企業で管理栄養士として従事してきました。 食領域でのマーケティング経験も多数あります🍽 現在は、飲食店の立ち上げサポートや監修のほか、次世代の栄養士の人材育成にも力を入れています。 運営するEatreatアカデミーの卒業生は1,000名超え📝 Eatreatのことを知っていただくために、PR活動もがんばっています♪

大内 美幸さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"栄養の知識・食育"に関するコラム

もっと見る