食のプロフェッショナルである管理栄養士・栄養士も正しい知識を問われることがある食品表示。本コラムでは「生鮮食品」にフォーカスを当てて、食品表示の基本について解説します。
食品表示基準の概要と生鮮食品
食品表示法では、食品を販売する際に表示されるべき事項を「食品表示基準 」として定めています。食品関連事業者が食品表示基準を守らなかった場合、立入検査や報告徴収が行われ、行政による指示や命令を受けることとなります。事業の存続にも大きな影響を与えるため、正しい知識で食品表示を作成しなければなりません。
この食品表示基準では、食品を加工食品 、生鮮食品 、添加物に区分し、それぞれの表示を規定しています。その中で生鮮食品は「加工食品及び添加物以外の食品」と定義されており、単に水洗いや切断、冷凍などの処理をされたものを指します。加熱や乾燥の処理、下味や酢締めの調味をした場合は、加工食品の扱いとなります。
食品表示基準で定義されている生鮮食品の種類は下記の通りです。
生鮮食品に必要な表示事項
ばら売りや量り売りなどの容器包装されない生鮮食品は、原則として名称と原産地の表示が義務付けられています。容器包装されている生鮮食品は、名称と原産地に加え、食品の特性に応じて表示事項が増えます。生鮮食品の実際の食品表示を見てみましょう。
<ばら売り かきの食品表示>
①名称
その食品を表す一般的な名称を表示します。地域特有の名称がある場合は、その名称が一般的に理解されると考えられる場合に地域特有の名称を表示することができます。
②原産地
国産品の場合は都道府県名(市町村名や一般的に知られている地名でも可)、輸入品の場合は原産国名(一般的に知られている地名でも可)を表示します。
<パック詰め 牛肉の食品表示>
①名称
「牛肉」、「豚肉」、「鶏肉」など一般的な食肉の種類と、「もも」、「ばら」、「細切れ」、「カレー用」など部位・用途を組み合わせて表示します。
②原産地
畜産品は家畜が最も長く飼養された国が原産地となるため、日本での飼養期間が長い場合は「国産品」として表示することができます。国産品の場合は、主たる飼養地の都道府県名(市町村名や一般的に知られている地名でも可)での表示も可能です。
※外国での飼養期間が長い場合は「輸入品」として表示します。
③内容量
重量に単位をつけて表示します。食肉の場合はグラムまたはキログラムを用います。
④消費期限
保存方法を守って保存した場合に、安全においしく食べられる期間を表示します。
⑤保存方法
食品の特性に基づいて具体的に表示します。
⑥加工者の名称と所在地
表示内容に責任を持つ者の氏名または名称と、工場の所在地を表示します。
その他、国産牛の場合は牛の個体を識別するための10桁の個体識別番号を表示します。「牛トレーサビリティ法」に基づき、日本で生まれて飼養された牛と、生きた状態で日本に輸入して飼養された牛から得られた牛肉が対象となります。
本コラムでは、生鮮食品の食品表示についてご紹介しました。食品表示の基本について、管理栄養士・栄養士の皆さんの理解が深まりますと幸いです。
参考文献
・桑崎俊昭:「改訂新版 早わかり食品表示法」第3版、公益社団法人日本食品衛生協会、(2021年)
・消費者庁:「早わかり食品表示ガイド(令和5年3月版・事業者向け) 」、消費者庁、https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pamphlets/assets/food_labeling_cms202_230324_02.pdf 、(閲覧日:2023年9月26日)
・東京都保健医療局:「食品衛生の窓 食品事業者向け情報」、東京都保健医療局、https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouji/index.html、(閲覧日:2023年9月26日)
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