人々が安心安全な食生活を送るためには、購入する食品の表示内容から情報を正しく読み取り、理解することが大切です。しかし近年、食品表示に関しては原材料や原産地の虚偽表示などの問題が度々起こり、食品を提供する立場にもモラルや正しい知識を身につけておくことが求められるようになりました。
本コラムでは、管理栄養士・栄養士として知っておきたい食品表示の基本についてシリーズで解説します。
食品表示とは
食品表示は、販売されている食品に表示されている情報源を指します。具体的には、食品の名称、原材料、原産地、添加物、アレルゲン、栄養成分、内容量、保存方法、消費期限・賞味期限、食品関連事業者などが挙げられます。これらの情報は、食品を安全に取り扱うためだけでなく、消費者の商品選択の判断に影響するという重要な機能を持っています。そのため販売されているすべての食品には、それぞれ表示しなければならない事項が法律により定められています。
食品表示に関連する法律①
食品表示に関する法律は、「食品表示法」が中心となっていますが、実は施行されてから10年未満の比較的新しい法律です。「食品表示法」が施行される前は、食品衛生法、日本農林規格等に関する法律(JAS法) 、健康増進法といった個別法によって食品表示が規定されていましたが、法律によって重複する部分や用語の使い方に違いがあるなど、消費者や食品事業者には複雑でわかりにくいとされていました。
このような状況を解消するため、平成21年に消費者庁が設立され、食品衛生法、JAS法、健康増進法にある食品表示に関する分野の規定の一元化が行われ、平成27年に「食品表示法」が施行されました。