食品の原材料表示には○○エキスというものが表記されている場合があります。エキスとはどのような目的や用途で使用されているのでしょうか。今回は代表的なエキスをご紹介しながら、解説していきます。
食品原材料に表示される「○○エキス」とは?
食品の原材料表示には、カツオエキス、コンブエキス、ニボシエキス、カニエキス、ホタテエキスなど様々なエキスが登場します。これらのエキスは食品の風味を良くするために使用されており、例えば、めんつゆには、カツオ出汁の風味を付与しておいしくするためにカツオエキスや鰹節エキスが利用されています。
これらエキスの中で最も生産量が多いのはカツオエキス類で、カツオエキスと鰹節エキスを合わせて、水産エキス全体の半分近くを占めます(食品化学新聞調べ)。
カツオエキスと鰹節エキスの違いは、鮮魚のカツオを煮出した風味を持つものがカツオエキス、鰹節を煮出した風味を持つものが鰹節エキスと覚えると分かりやすいのですが、それぞれを区別する明確な定義がなく中間的なものも多いので合わせて考えています。
カツオエキスのうま味成分
さて、最も代表的なエキスであるカツオエキスは、カツオを煮た煮汁を濃縮して製造されます。また、その過程でお料理のアク取りのように雑味成分を取り除く、ろ過という工程を経ます。カツオエキスにはカツオに含まれるうま味成分であるイノシン酸やアンセリン、カルノシンなどが多く含まれており、食品の風味を良くする効果があるのです。また、その効果はイノシン酸を単独で使用したときのような単純なうま味ではなく、カツオ特有の複雑なうま味があります。そのため、めんつゆをはじめ、鍋つゆ、ドレッシング、即席みそ汁、粉末スープなど様々な食品に、複雑なうま味や風味を付与する目的で使用されているのです。
コンブエキスのうま味成分
コンブエキスも同様です。コンブ出汁のうまみ成分はグルタミン酸ナトリウムといわれていますが、実はグルタミン酸ナトリウムの量だけで美味しさが決まるものではありません。アルギン酸等のアミノ酸、マンニットなどの多糖類、各種ミネラル、香り成分など、様々な成分が組み合わさりおいしいコンブ風味になるのです。コンブエキスには、複雑なうま味成分が凝縮されており、カツオエキスと同じように、めんつゆや鍋つゆ、即席みそ汁などの食品に複雑なうま味や風味を付与する目的で使用されています。
エキスの定義とは?
さて、それではどのようなものがエキスと言えるのでしょうか?
実は、これには明確な定義がないのが実情です。エキスというと化学的な意味合いでマイナスイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。しかし、『○○を煮詰めて濃厚なエキスにしました』や『カキのエキスが口に広がる』などおいしさを表現する時には良く聞く表現かと思います。つまりエキスとは、食品の複雑なうま味成分が凝縮した液体です。
また、原材料はカツオやコンブなどの水産物や、牛や鶏などの畜産物、農産物などで、化学的な調味料とは違い、素材由来の複雑なうま味や風味を付与します。
食品表示の基本的な考え方では、「一般の消費者が理解できる一般的な名称で原材料の名前を表示すべき」とされていますので、エキスの表示もできるだけ、一般消費者に分かりやすい表示がされています。
エキスについて、身近な食品と感じていただけましたでしょうか?食品の原材料表示には○○エキスという表記が数多くされています。これをきっかけに、色々なエキスを調べてみるのもおもしろいかもしれません。
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