もし、保育園給食の離乳食や幼児食で昆布だしを毎日使用している場合、厚生労働省が現在、設定しているヨウ素の耐容上限量を超えてしまっている可能性があります。
ヨウ素は健康に欠かせない栄養素
ヨウ素は、生殖、成長、発達等の生理的なプロセスの制御などを行う甲状腺ホルモンを構成しているため、過不足なく摂取したい微量元素のうちの一つです。もちろん乳幼児にとっても必要な栄養素です、厚生労働省の「統合医療」情報発信サイトで紹介されている、アメリカ国立衛生研究所のヨウ素に係る情報では、「ヨウ素は胎児や乳児の発達ならびに甲状腺ホルモン産生に重要な役割を果たしているため、どのライフステージにおいてもヨウ素は健康に欠かせない栄養素である。」※1としています。
※1 厚生労働省 「統合医療」情報発信サイトより抜粋
http://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/06.html
日本人のヨウ素摂取量は?
そのため、ヨウ素を摂取すること自体は悪いことではありません。しかし、日本人は昔から海藻類や魚介類の摂取が多いため、ヨウ素の過剰摂取に注意しなければなりません。
日本人の食事摂取基準として、ヨウ素耐容上限量※2は、
0才 250㎍/日
1-2才 300㎍/日
3-5才 400㎍/日
と、されています。
※2 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)
これに対し、ヨウ素を多く含む昆布(まこんぶ)は、100g当たり200,000μg、昆布だしにおいても、100g当たり5400㎍のヨウ素が含まれています。※3そのため、例えば、昆布だし5gには、ヨウ素270㎍含まれる計算となり、あっという間に一日の耐容上限量を超えてしまいます。
※3 「昆布だし」の成分値は、水に対し3 %の昆布を加えて約60分放置し、布でこして得られただしの分析値に基づき決定した。なお、ヨウ素の再分析を行い、分析値(2015)及び分析値に基づき成分値を決定した。(「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」 文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会 報告 抜粋)
昆布以外にヨウ素を含む食品は?
昆布以外の海藻類、魚介類でも、昆布ほどではありませんがヨウ素が含まれている食品があります。そのほかにも、卵黄など日常的に摂取するような食品や、家庭で使用しやすい、だし入り味噌、各種調味料などにもヨウ素が含まれている場合があります。また、昆布や海藻類の摂取量などの要因により個人差はありますが、母乳にもヨウ素が含まれています。
ヨウ素を多く含む食品と含有量(100gあたり)
・ ほしひじき ステンレス釜 乾 45000㎍
・ 焼きのり 2100㎍
・ まだら 生 350㎍
・ 鶏卵 卵黄 生 50μg
このように、家庭でもさまざまな形でヨウ素を摂取していることを考えると、ヨウ素摂取に限って言えば、保育園では、かつおだしを使用するなど、昆布だしを使う頻度や量を調整するといった昆布だしとの上手な付き合い方が必要ではないでしょうか。
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※2020.05.28 食事摂取基準の改定により、コラムを一部リライトしました。
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