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保育園での献立作成の考え方~サイクルメニュー

保育園の栄養士として働きはじめたら、いったい何を作ればいいのか不安な方が多くいるようです。しかし、ほとんどの場合は、前任者が考えた献立や園長の意向をふまえた献立、グループの保育園の間で統一された献立などが用意されていますので安心してください。

最初のうちは既存の献立を作ることに専念すればいいのですが、仕事にも慣れ、今までの仕事を振り返ってみたとき、「なんでこれらのメニューができたのだろう?」、「これ、同じ献立を繰り返していない?」などと思うことがあるでしょう。今回は、保育園の献立作成の考え方、特にサイクルメニューについて、解説します。

1.献立の形式

保育園での献立の形式は、大まかに以下の2つに分かれます。

(1)日替わりメニュー

  毎日違うメニューを提供すること。

(2)サイクルメニュー(1週間×4 or 2週間×2)

  同じ献立を繰り返すこと。

  基本的には、1週間の献立を4回繰り返す、または2週間の献立を2回繰り返すことで1ヵ月の献立メニューとします。

2.サイクルメニューの目的

献立を考えるとき、大人の場合は毎日違うものが当たり前だと思っているのではないでしょうか。日替わりのメニューは栄養バランスがとりやすいというのもありますが、いろいろなものを食べたいという要望にこたえることができ、何よりも飽きがこないというメリットがあります。

そのような観点から考えると日替わりメニューだけでもいいような気がします。しかし、幼児の場合、食事への知識が乏しく、同じ食材でも味が変わったり、見栄えが変わったりしただけでも警戒されてしまいます。「昨日食べたお魚だよ」と言っても、子どもにとっては、はじめてのものとして認識されてしまい、食べてくれないことがよくあります。

これを解消していく一つの手段が、あえて同じメニューを短い期間で何度も出すことです。これによって、何回も目にして口にしたり、匂いをかいだりすることで味や食材に慣れ、安心して食べてくれるようになります。

これがサイクルメニューの目的です。

また、サイクルメニューはいわゆる慣れですので、苦手なものや薄味なものも食べられるようになるということが利点にあります。 最近は、世界的に和食がブームとなっていますが、本当の和食はダシがきいているものの、薄味で、よく噛むことによって素材の味を感じられるようになっています。和食のような薄味の料理をおいしく食べれるようになるためにも、小さいころから「食べる経験」を重ねることが重要です。

3.サイクルメニューの目的は理解されにくい

一方で、サイクルメニューは1週間毎とはいえ、同じメニューを繰り返すことから、多彩な食材の摂取ができず、栄養のバランスが悪く、飽きもくるのではないかと保護者から懸念されることがあります。また、最も辛いことは、手抜きをしているのではないかと、疑われることです。

4.試すに当たってはまわりの理解が必要

厚生労働省は、幼児の味覚の発達のため、様々な食べ物の多くの味を経験させることを推奨しています。しかし、子どもの食べず嫌いが直らないのに、いろいろなものを食べさせるのも難しいかと思います。なかなか理解されにくい面があるサイクルメニューですが、これまでに述べてきたような利点もあります。

まだ、サイクルメニューを採り入れていない保育園では試してみる価値はあるのではないでしょうか。ただサイクルメニューをはじめるに当たっては、保護者、同僚、園長などに丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。

保育園給食をきっかけに、よく噛まないと味わえない和食も、「おいしい!」と感じられ、家庭の味のように、保育園の味が子どもに定着していくといいですね。

 

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みんなのコメント( 1

    • ID: 324
      2729日前

      保育園の給食の献立を考える上でのサイクルメニュー。とても勉強になります。関係者の理解、きちんとした説明が必要とのことですがやってみる価値があると思いました。

      拍手 3

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