COLUMN

レシピ開発経験のある私から、誰が読んでも伝わるレシピの書き方を全3回に分けてお届けしている本シリーズ。最終回では、伝わりやすい作り方の書き方をお届けします。

作り方を書くときのポイント

レシピの中での作り方とは、レシピの要となる調理方法を記載しているものです。一般的には①下ごしらえ②調理③仕上げの流れで工程を分けて書きます。
下ごしらえでは、材料を切る作業から説明していきます。その際はどんな形、どんな大きさに切ればよいのかを具体的に記載することが大切です。また、野菜類の後に肉・魚介類を切る流れで書くと、まな板を途中で洗うなど余計な手間を減らせます。

調理方法は、だらだらと文章が長くならないように、ポイントを押さえて簡潔に書くことが大切です。料理初心者の方でもわかりやすいよう、専門用語は簡単な表現に言い換えるなど、わかりやすい表現にすることを意識しましょう。
工程が多すぎると読み手の意欲が低下してしまうため、5~6工程にまとめるのが理想です。

調理に関する言葉で気を付けるポイント

▶オーブン、電子レンジの表記方法
予熱が必要なオーブン調理では、下ごしらえの過程で「オーブンを〇度に予熱しておく」と記載すると親切です。電子レンジ調理の場合、ワット数と加熱時間を必ず明記します。複数のレシピを書く際は、ワット数を統一しましょう。

▶水の分量
料理で使う水は、合わせ調味料など料理の材料として使用する場合を除き、作り方の文中に記載します。量がきっちり決まっているときは「L(リットル)」や「ml(ミリリットル)」で表しますが、「1カップ(200ml)」という表記も可能です。おおよその場合は「たっぷり」や「ひたひた」などの表現を用います。
「たっぷり」は、材料が完全に水に沈み、煮立ったときにふきこぼれない程度の量をいいます。青菜や卵をゆでるときに使います。
「ひたひた」は、材料の表面が水面から見え隠れする程度の量です。煮物調理でよく使います。

▶火加減や加熱の目安
コンロを使用する場合、火加減の記載が大切です。最もよく使われる火加減は「中火」ですが、調理中の火力の調整内容も「強火」「弱火」と明記します。どのタイミングで火力を変えるのか、煮込むときの火加減はどれくらいがよいのか等、読み手が正しく対応できるよう細かく書きましょう。

▶時間と材料の状態
どれくらいゆでたり炒めたりすればよいのかは「〇分ゆでる」といった時間での表記の他、「しんなりするまで」「竹串がすっと通るくらい」などかたさを表した書き方や「色が変わったら」「焼き色がついたら」など色の状態で表します。明確な時間が表記しにくい場合、こういった見た目で読み手が判断できる表現で目安を提示しましょう。

作り方を書くうえで起こりやすいミスと対策

最も起こりやすいミスは、「作り方」が手順通りになっていないことです。自分ではわかっていても、他の人が読んだときに誤解される書き方は避けましょう。
自分で読み返すだけではなく、他の人に読んでもらうのも効果的です。

まとめ

全3回にわたり、レシピ作成のポイントをお伝えしました。ポイントを押さえながら何度も書くことで、自分なりの書き方が身についてきます。ぜひ、コラムを参考にしながらレシピを書いてみてください!





参考文献
レシピ校閲者の会:「おいしさを伝える レシピの書き方Handbook」、辰巳出版株式会社、(2017)


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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      2日前

      「レシピの書き方」に関する連載もついに最終回!
      レシピ作成などで幅広く活躍されている管理栄養士の佐藤里帆さんに、レシピにおける「作り方」について解説していただきました!

WRITER

佐藤 里帆

医療系食品メーカーにて病院や高齢者施設、薬局に向けて商品提案、栄養情報の提供、勉強会講師など担当。 パーソナルジム会社に転職し、ダイエット向けの食品事業の立ち上げメンバーとして、商品開発に従事。レシピ作成や食品工場との連携作業、商品撮影ディレクションなどを行いながら管理栄養士目線からのSNS運用サポートなどを行う。 現在はフリーランスとして、レシピ作成や企業様の商品開発サポート、フードコーディネーター業務、EC支援業務など幅広く活動しています。 いつかは地元の北海道のような地方を食で活性化するような仕事がしたいと活動中です!

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