-
- イベント報告
- 2019.11.18
第41回日本臨床栄養学会総会 第40回日本臨床栄養協会組合 第17回大連合大会に参加して
2019年10月26日、27日の2日間、名古屋ガーデンパレスにて、第41回日本臨床栄養学会総会 第40回日本臨床栄養協会組合 第17回大連合大会が開催されました。
栄養疫学、在宅栄養、リハ栄養、歯科などについて、幅広いトピックについて議論がなされました。今回は、大会で得た情報をノート式で皆さんにもシェアしたいと思います。
◆講演:日本人の食事摂取基準(2020年版)臨床現場はどう活用すべきか?
講師:東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学分野 佐々木敏先生
要旨
・2015年版で、「重症化予防」というキーワードが初めて参考資料の中に出てきた。
・2020年版で「重症化予防」が正式な章になり、食事摂取基準に臨床栄養が初めて入ったことになる。
・食事摂取基準は定性的*ガイドラインではなく、定量的ガイドラインである。
*定性的:数値・数量で表せないということ(⇔定量的)
・「PFCバランス」、「三大栄養素」という呼び方は和製の言葉のため、「エネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)」と呼ぶのが正しい。
・総脂質は疾患との直接的関連がない。飽和脂肪酸は関連がある。
・コレステロールでは、健康者の発症予防と疾患の重症化予防の数値は異なる。
・食事摂取基準の活用は「比較」である。
★習慣的な摂取量と食事摂取基準の値、それぞれの絶対量よりも、差が重要。
・個人の食事摂取の揺れは1000kcalくらいある。
・あらゆる栄養素の揺れは大きい。エネルギーの揺れが一番少ない。
◆パネルディスカッション:特別用途食品の現状と活用を考える~特別用途食品制度の最新情報
演者:消費者庁 食品表示企画課 保健表示室 宇野薫先生
要旨
・食品表示制度における栄養成分表示は今まで任意だったが、2020年4月以降、すべての加工品に栄養成分表示が義務化される。
・機能性表示食品:2200件を超えている。
・食品とは、食品表示法、食品衛生法にて、すべての医薬品・医薬部外品を除くもの。
・2019年9月~病者用食品 許可基準型の中に糖尿病用組合せ食品、腎臓病用組合せ食品(弁当)が新しく区分として作られた。
・2019年9月~とろみ調製用食品の見直し
◆パネルディスカッション:地域高齢者の咀嚼機能と摂食食品・栄養素との関係
演者:大阪大学大学院歯学研究科 顎口腔機能再建学講座 有床義歯補綴学・高齢者歯科学分野 池邉一典先生
要旨
・過去と現在の傾向を比較したとき、高齢になるほど歯の数は減るが、同じ年齢間の歯の数は増えている。個人差が大きい。
・咬合力(GC)は、高齢になるほど低下する。
・唾液分泌速度(安静時、咀嚼時)は、大学生と比較して、高齢者は3分の1~半分程度しかない。
・口腔感覚(口腔立体認知能)が低下している。
・咀嚼には、口腔感覚、運動能力、咬合力、唾液分泌量が関係しており、歯があっても食べることが困難な高齢者が珍しくないことがわかってきた。
<咬合力と栄養摂取>
・歯が少ないと、野菜の摂取が減る、太る(複数論文あり)
・咬合力が低い人は、エネルギー、炭水化物摂取量が多く、たんぱく質摂取量が少ない
また、ビタミン、ミネラル、食物摂取などの摂取量が少ない
・最大咬合とBMIの低下に有意な関連あり
・経過年数、悪性腫瘍とBMIの低下に有意な関連あり
◆ランチョンセミナー:サルコペニアのUPDATE~AWGS2を踏まえた栄養の重要性~
講師:横浜市立大学付属市民総合医療センター リハビリテーション科 若林秀隆先生
要旨
・先日のアジアフレイル・サルコペニア学会で 「AWGS2019」の発表があった。
・リハ栄養において特徴的なのは、マネジメントサイクルの中に「サルコペニアのアセスメント」、「ゴール設定」が入っている点。
・リハ栄養ガイドライン2019:日本リハビリテーション栄養学会のHPで参照可能。
・サルコペニア新定義 “EWGSOP2” ➡初めて「骨格筋疾患」という言葉が使われた。
・現在、サルコペニアの診断、治療、リハオーダーは可能だが、算定はとれていない。
<AWGS2019>
・論文アクセプトはこれから
・握力が正常でも、筋肉量が低下して、身体機能低下があればサルコペニアなのがアジアの特徴
・BIAが調査不可の場合でも、下腿周囲長が使えるだろう
・握力のカットオフ値が男性で変更
・歩行速度➡椅子立ち上がりテスト(40cm高さの椅子)5回 ≧12s
・Lancetにサルコペニア定義が掲載されている。
・栄養改善が嚥下・ADL改善につながるようなら攻めの栄養改善をするべきだが、全症例にするべきではないと考える。
・JCSMクリニカルレポート2017:JCSMのHPで参照可能。
・低栄養+サルコペニア➡サルコペニア嚥下障害
※栄養改善をすれば嚥下機能が改善する。
・嚥下関連筋のレジスタンストレーニングを含めた摂食嚥下リハビリテーションと栄養改善の併用が重要。
いかがでしたでしょうか。Eatreatでは今後も使える学会・セミナー情報をお届けします!
関連コラム
・「栄養とエイジング」国際会議(2019年10月1日、2日)に参加して
・2019年度全国栄養士大会に参加して①
・2019年度全国栄養士大会に参加して②
みんなのコメント( 1 )
-
-
-
- Eatreat 編集部
- 1830日前
Eatreat編集部です。今回は、イートリスタ横原さんによる、第41回日本臨床栄養学会総会 第40回日本臨床栄養協会組合 第17回大連合大会のレポートです。
-
WRITER
-
Eatreat 編集部
Eatreat編集部
関連タグ
関連コラム
-
- 管理栄養士・栄養士の仕事
- 2024.10.31
Eatreat後援セミナーのお知らせ 「【管理栄養士・栄養士向け!】 在宅ワークができる方法!」
-
- 歯科と栄養
- 2022.05.14
Eatreat後援セミナーのお知らせ「訪問歯科品質向上のカギは栄養!」
-
- 管理栄養士・栄養士の仕事
- 2021.08.19
地域の方へのセミナーを通じて
-
- イベント報告
- 2021.05.10
~顔の見える地域栄養士を目指して~「栄養と運動のセミナー」開催
-
- イベント報告
- 2020.02.17
第23回日本病態栄養学会に参加して
"イベント報告"に関するコラム
-