4月10日(土)、ローソンホーム薬局西蒲田店にて、今年度最初の「栄養と運動のセミナー」を開催しました。緊急事態宣言の発令により、昨年度は1月からセミナーが中止になってしまい、毎月恒例のこちらのセミナーも久しぶりの開催となりました。
今回のセミナーの流れ
今回のセミナーテーマは「フレイル予防の食事のポイント」でした。新型コロナウイルスの影響で自粛生活が続く中、高齢者のフレイルの進行が懸念されるため、こちらのテーマに決定しました。
はじめに自己紹介を行った後、メインテーマである「フレイル予防の食事のポイント」を管理栄養士からお話ししました。次に地域包括支援センターの職員様にご協力いただき、運動の時間を設けました。
セミナー終了後には、質疑応答ができる座談会を設けました。今回は食事記録用紙を配布し、希望者にはその場で普段の食事内容を記入してもらい、それを基に食事のアドバイスを行いました。
フレイル予防の3本柱
フレイルとは、からだやこころの機能の低下によって、要介護に陥る危険性が高まっている状態です。元気でいきいきと生活できる期間、つまり健康寿命を延ばすためにはフレイル予防が重要となります。
セミナーではまず、参加者の皆さんにフレイルの兆候チェックをしてもらいました。このチェックは11項目あり、該当項目が6つ以上でフレイルのリスクが高まります。皆さん健康への意識が高く、6つ以上に該当した方はお一人だけでした。
次に、フレイルとあわせて知って貰いたい、「サルコぺニア」という病態を説明しました。サルコぺニアとは、加齢に伴い筋肉量と筋肉が低下することで、フレイルの要素の一つでもあります。そのため、筋肉量を維持することがサルコぺニアやフレイルの予防になります。筋肉量を簡単にチェックする方法として、皆さんと「指輪っかテスト」を行いました。親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎの一番太いところを囲みます。ふくらはぎを囲んだ時に隙間ができるとサルコぺニア(筋肉量の減少)の可能性が考えられます。参加者の中で隙間ができる方はおらず、このテストではサルコぺニアの可能性は低いと判定でき、皆さんとても嬉しそうな表情を浮かべていました。
続いてフレイル予防の3本柱、「栄養」「運動」「社会参加」について話をしました。
「栄養」に関しては、多様な栄養素(特にたんぱく質)をとることがポイントです。そのためには、1日3食バランスのよい食事をとるようにしましょう。主食・主菜・副菜が揃った食事を意識すると、バランスのよい食事が出来上がります。
主食:炭水化物を多く含み、エネルギー源となる。毎食ご飯茶碗1膳分は食べるようにしましょう。
主菜:フレイル予防のポイントとなるたんぱく質がとれる。食事ごとのたんぱく質が不十分だと筋肉の分解が進みやすくなるため、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などの良質なたんぱく質を意識して摂るようにしましょう。
副菜:野菜がメインの料理で、ビタミンやミネラルがとれる。野菜は1日に350g以上とるようにしましょう。
今回は実際に350gの野菜を用意し、参加者の方に目でみてもらったところ、「この位は食べている」と充足を感じている方が多かったです。
「運動」は習慣的に行うことがポイントです。骨や筋肉を維持するためには歩くだけでは不十分です。散歩やウォーキングといった歩行運動に、毎日少しの筋力運動(筋トレ)をプラスすることが大事です。スクワットやかかと上げなど、おすすめの筋力運動をご紹介しました。
3つの柱の最後「社会参加」についてです。社会関係が豊かな人ほど要介護や認知症になりにくく、健康寿命が長いことが分かっています。人や町とつながりましょうとお伝えしました。
セミナー後半は楽しく運動
セミナー後半は皆さんで体操を行いました。運動の話でご説明した、かかと上げや肩回し、腕やふくらはぎのストレッチ、頭のマッサージも行いました。
口腔環境を良好に保ち、オーラルフレイルを予防することも非常に重要なので、発声練習や楽しい早口言葉集を使って楽しくトレーニングを行いました。
まとめ
座談会時に食事記録を書いた参加者の方には、その場で食事バランスや食事量の確認を行い、ワンポイントアドバイスを行いました。野菜は食べているとお話しされていた方でも、実際は夕食にしか食べていなかったり、無意識に欠食して1日2食の方もおられました。食事記録を書くことで、自分の食事の振り返りができ、気づきがあった様子でした。
今回は感染リスクを考慮して参加されなかった常連の参加者様もいらっしゃいました。早く皆さんが、社会活動を安心して行えるようになることを願うばかりです。今後も定期的にセミナーを開催し、地域の方にとって気軽に食の相談が出来る場所として、このセミナーが活用されると幸いです。
次回イベントの告知
6/5(土)14:00~
第2回 栄養と運動のセミナー
皆さんのご参加をお待ちしています。
関連コラム
~顔の見える地域栄養士を目指して~ 第5回「栄養と運動のセミナー」開催②
~顔の見える地域栄養士を目指して~第1回「栄養と運動のセミナー」開催
~何でも気軽に相談できる「顔の見える栄養士」を目指して!管理栄養士 大塚綾さんインタビュー