管理栄養士の国家試験は、厚生労働省によって2021年から毎年2月に実施されることになりました。今年度の第37回管理栄養士国家試験までは、残すところ約2カ月です。このコラムでは、2022年2月に実施された第36回管理栄養士国家試験を振り返り、直近の国家試験について理解を深めていきます。
国家試験の合格率
第36回管理栄養士国家試験の受験者数は16,426名で、そのうち合格者数は10,692名でした。合格率は、管理栄養士養成課程の新卒が92.9%、管理栄養士養成課程の既卒が20.5%、栄養士養成課程から実務経験を積んで受験した既卒が28.8%で、全体での合格率は65.1%となっています。
また下記のグラフの通り、第33回管理栄養士国家試験から年々合格率が上がっているのがわかります。管理栄養士国家試験は出題基準(ガイドライン)に沿った問題が出題されるため、難易度が突然上がることはなく、受験者のレベル自体が上がっていると考えられます。
出題された内容
第36回の出題数の配分は、第34回(2020年3月実施)の試験から変わらず下記の通りでした。管理栄養士養成課程の場合は、授業のカリキュラムとほぼ同様の科目となります。
社会・環境と健康…16問
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち…26問
食べ物と健康…25問
基礎栄養学…14問
応用栄養学…16問
栄養教育論…13問
臨床栄養学…26問
公衆栄養学…16問
給食経営管理論…18問
応用力試験…30問
計…200問(120問/200問の正解で合格)
気になった問題①
【問43】
感染症に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
(1) 日和見感染とは、感染しても発症しないことである。
(2) 潜伏期とは、発症してから治癒するまでの期間である。
(3) ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法は、病原体由来の DNA を検出する。
(4) 垂直感染とは、病原体が輸血によって伝播する感染様式である。
(5) 耐性菌とは、薬物に対して感受性をもつ細菌である。
感染症に関する問題は、近年流行している新型コロナウイルス感染症を意識して出題されたと考えられます。特にPCRという用語は聞き慣れた方が多いと思いますが、手法や意味は理解しておきましょう。
気になった問題②
【問192】
これまで保健指導を呼びかけても反応しなかった無関心層をターゲットとし、保健指導の利用を促すチラシを作成した。ナッジを活用したチラシとして、最も適切なのはどれか。 1つ選べ。
ナッジは「優しく説得する」、「そっと後押しをする」という意味で、近年は教育や医療などの分野でナッジ理論が活用されています。第35回でナッジ理論について出題され、初めて耳にした受験生も多くいた中、続けて第36回でも出題されて話題となりました。
第37回管理栄養士国家試験に向けて
管理栄養士国家試験は、過去に出題された問題と類似のテーマが多く出題されますが、過去問ではカバーできない制度の問題や時事問題もあります。社会にも目を向け、情報収集しながら勉強に励むこともポイントとなりそうです!
参考文献
・厚生労働省ホームページ:「第36回管理栄養士国家試験の問題および正答について」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000903363.pdf、(閲覧日:2022年11月25日)
・厚生労働省ホームページ:「第36回管理栄養士国家試験の問題および正答について」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000903362.pdf、(閲覧日:2022年11月25日)
関連コラム
・【解答速報】第36回(2022)管理栄養士国家試験
・【解答速報】第35回(2021)管理栄養士国家試験