COLUMN

高尿酸血症(こうにょうさんけっしょう)とは、人の血中に存在する尿酸の血中濃度が高い状態のことを言います。高尿酸血症は、性年齢を問わず、血清尿酸値が7.0mg/dLを超えるものと定義されています。また、この高尿酸血症が持続して尿酸塩結晶が沈着した結果として起こる病気が痛風です。
これらは生活習慣と密接に関わっているため、食事や運動などの生活習慣の改善が必要となります。食事療法においては、適正な量のエネルギーの摂取、プリン体の摂取制限、十分な水分摂取、飲酒制限とバランスのとれた食生活が大事になります。
それぞれ詳しく解説していきましょう。

1. エネルギー摂取量を適正にする

肥満傾向にある場合は、最初に必要なエネルギー摂取量を確認しエネルギー摂取量を適正にします。体重減少に伴って血清尿酸値が低下することが多く、肥満の解消は内臓脂肪蓄積やインスリン抵抗性の改善につながります。エネルギー摂取量についての基本的な考え方は、糖尿病の食事療法に準じましょう。糖尿病の食事療法はEatreatコラム 「糖尿病の食事指導の行い方」をご参考になさってください。また、エネルギー摂取量や食事の内容だけでなく、過食や早食いなど食べ方についても意識するようにしましょう。

2. プリン体を多く含む食品を摂り過ぎない

日本人の平均プリン体摂取量は、1日約100~150 mgとされていますが、過食等により摂取量が500mgを超えるケースもあります。尿酸値が気になる人はできるだけ400mgまでを目安にしましょう。プリン体は、ほとんどの食品に含まれ、低プリン体食を厳密に実践するのは難しく、現実的ではありません。まずはプリン体を多く含む食品を控えるようにしましょう。100gあたりにプリン体を200mg以上含む高プリン体食品の動物の内臓や、魚の干物類には注意が必要です。

3. 水分摂取は十分に行う

尿酸結石の防止のため、尿量を1日2,000ml以上確保することが目標とされています。尿量を確保するために十分な水分補給が必要ですが、ジュースやスポーツドリンクなどの砂糖入りのソフトドリンクは、痛風発症のリスクを高めます。水やお茶などのノンカロリーの飲み物で1日2,000mlを目安に水分補給します。特に、夏場や大量に汗をかくような時は尿量を保つため、こまめな水分摂取を心がけるようにしましょう。

4. お酒(アルコール類)は種類を問わず、量を控える

アルコール類の中でもプリン体を多く含むビールは、特に注意が必要です。しかし、他のアルコール類でも、一度に多量に摂取すると尿酸値は上昇するので、種類を問わず過剰摂取は控えるようにしましょう。目安量としては1日で、日本酒1合・ビール500ml・ウィスキー60ml程度です。ちなみに、アルコールには利尿作用があり、水分補給には適しません。
また、酒の肴はエネルギーが高く塩分が多く含まれているメニューであることが多く、なおかつプリン体も多く含むことが多いため、あっさりとした野菜のメニューを選ぶなど工夫をしましょう。

5. バランスのとれた食生活を心がける

またこれ以外に、動物性たんぱくやショ糖・果糖の摂取量が多い食生活でも痛風発症リスクは高まります。好きなものだけを食べ続けたりすると栄養バランスが偏ります。そうならないように、主食・主菜・副菜の組み合わせを意識し、バランスのとれた食生活をすることが大切です。

以上の点に気を付けて、尿酸値をコントロールし、痛風を発症しないようにしましょう。

参考
日本病態栄養学会(編)(2016)『病態栄養認定管理栄養士のための病態栄養ガイドブック改定第5版 』南江堂
日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会(編)(2010)『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン(第2版)』メディカルレビュー社
日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会(編)(2012)『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第2版[2012年追補 ダイジェスト版]』メディカルレビュー社

 

関連コラム
健康診断の活用方法 糖尿病ってどんな病気? 三食食べてもダメ?新型栄養失調とは?

みんなのコメント( 1

    • ID: 182
      2687日前

      とてもわかりやすいです!ありがとうございます

WRITER

中本 絵里

日本糖尿病療養指導士・シニア野菜ソムリエ

中本 絵里さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"病気(症例別)と栄養"に関するコラム

もっと見る