COLUMN
  • 高齢者の食事・介護食
    2018.11.16

    「食べて幸せ、明日のえがお」をコンセプトに…Kamulier(カムリエ)

  • posted by Eatreat 編集部

今回は、都内で介護食料理教室からお口のオーラルケアまで、さまざまな情報を発信している「Kamulier(カムリエ)」(http://www.kamulier-gc.jp/)にお邪魔し、店長の志水様と管理栄養士の松下様からお話をうかがいました。

カムリエをスタートしたきっかけ

カムリエは歯科の医療機器総合メーカー、株式会社ジーシーのプロデュースのもと2013年9月にオープンしました。「歯科医療」と「食」のプロが美味しく楽しめる生活をしていくために、「今」出来る事をこれからの超高齢社会で、「口」から食べ続けるために歯科界から情報を発信していこうと思ったのがきっかけです。

私たちは、おひとりおひとりの「お口の健康」を支え家族が同じ空間で、一緒に食べられる「おいしい食事やスイーツ」をご提案し、明日の笑顔につながるお手伝いをしたいと想っています。

イチオシの商品は?

カムリエのプレミアムケーキです。ケーキは、パティシエの辻口博啓さんに考案していただきました。商品になるまでに、日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック院長菊谷武先生や岡山の赤磐医師会病院を中心につくられた嚥下食開発チームのあかいわチームクッキングの方々にサポートしていただき完成した奇跡のケーキです。

ケーキはしっとりしていて軟らかいと思われますが、実はスポンジは飲み込みが弱くなっている方には食べづらい食品のひとつです。その問題点を改善したケーキこそが新食感スイーツとして今皆さまに全国配送(離島を除く)でお届けできるようになりました。
オープン当初からある、マンゴー×パッションやまっちゃ×ショコラ、フランボワーズ×ライチ、キャラメル×ポワールは不動の人気ですが、季節に合わせたケーキも好評です。

お客様との心に残ったエピソードは?

「食べることが難しくなってきた時、カムリエのケーキはぺろりと食べたんです」「最後に家族でケーキを一緒に食べた時おじいちゃんが笑顔になった、家族が笑顔で見送ることができたんです。」といったお声を頂戴することがあります。とても励みにもなり感慨深いものがあります。一般のケーキにはないものが、カムリエのケーキにはあります。改めてケーキの存在の意味を教えていただきました。

介護食についてもっと知ってもらいたい

今後は、カムリエの活動やケーキの意味の紹介、介護食料理教室のように在宅でできる調理方法の工夫、ゲル化剤を使う手元調理や基本となる食材の切り方や盛り付け方、『嚥下調整食学会分類2013』に定められているとろみのつけ方、どの段階のとろみが適しているのかなど、介護食、嚥下調整食の基本を介護に関わる方、今から勉強したい方々にお伝えしていきたいと思っています。

嚥下調整食はひと昔前まで、食材全部をミキサーにかけペースト状にして、どれも茶色でどろどろしているもの…という感じでしたが、今はそんなことはありません。ペースト状の食形態のものでも形があるものに作れるのです。お寿司、そば、うどんなど。
管理栄養士、栄養士だけではなく調理師の方との連携が必要です。経験してきたことが違うから理解されないとあきらめないで話あってほしいです。 食べてもらうために必要な工夫の先に、本人とご家族の笑顔があることをお伝えしたいです。
「食べる」ことは楽しみの一つ。笑顔が見られるように、これからも多職種の方と話をし、新しい情報と基礎となる情報を発信していきたいと思います。

ここからは、カムリエで働く、管理栄養士の松下様のお話です。

カムリエに携わることになったきっかけは?

短大で栄養士の資格を取り、さらに大学を卒業した後に福祉施設の厨房の栄養士として、3年半、調理や発注業務をしていました。その時に大量調理を初めて経験し、常食・一口大・刻み・ミキサーのことを学びました。当時は厨房の中で働いていたので、忙しさゆえに喫食者の方が食べていることを考える余裕がなく見た目や色合いまで思いがおよばない、そんな状態でした。

その後、栄養士の世界から一旦離れることになり、製薬会社にて7年間、薬の副作用と安全性について学びました。そこでわかったことは、薬の副作用というのは、軽いものから重篤なものまでとてもたくさんあるという現実を目の当たりにしました。私はまず薬に頼る前に、食を通じた予防に目を向けて取り組みをしていかないといけないのではと、強く思うようになりました。
そして昨年、管理栄養士の国家試験に合格し、今まで歩んできた経験が活かすことが出来るかもしれないと思い、カムリエの管理栄養士の募集に応募をしました。

カムリエを、介護食を中心とした交流の場に

カムリエは在宅向けの介護食の料理教室を開催しています。料理教室にはたくさんの方がいらっしゃいます。多くの方が自宅で介護食を作らなければならない状況になっていることを肌で実感しています。在宅介護食に役立つ情報を積極的に発信していく場所、そして多職種の方と一般の方が一緒にディスカッションできる場所だと思います。
私は、カムリエで提供しているランチのメニューや介護食料理教室のレシピ開発を行っています。また料理教室の講師として皆さんにお伝えもしています。受講生の方々は幅広く、介護施設で働いている管理栄養士さんや調理師さん在宅訪問の看護師さんや保健士さん、在宅介護をされているご家族の方などがいらっしゃいます。

カムリエの料理教室では、スーパーやコンビニで揃う食材を使って介護食の作り方をお伝えしています。具体的には、高齢者の方が食べにくくなるお肉やお魚といった食材を食べやすくする工夫などです。いつもの料理の工程からひと手間を加えるだけでご家族が一緒に食卓を囲む事ができるようになります。口の中でパサつくお肉やお魚は「ある食材」を加えるだけでしっとりなめらかに仕上げられます。また、あんをかけることで見た目にもツヤがでて嚥下しやすいといった食欲をアップさせる工夫もご紹介しています。
また、スーパーやドラッグストアで販売されているレトルト食品の試食体験講座なども開催しています。試食では味以外にも、見た目、香りなど実際に食べる方の口の状態を想定してパッケージの表記にも注意を促しながら行っています。

管理栄養士としてのやりがい

どの家庭でも手探りで介護食に取り組んでいる中、本当にさまざまなご相談をいただきます。とろみ剤とゲル化剤の違いなどがよく分からない。寒天とゼラチンの使い方がわからない。使い方に違いがあるのなんて気にしてもなかったなど…。そういったお話しに真摯に回答した後に、「あれをやってみたら、食事が改善しました!」などの喜びのお声をいただいた時が、とてもうれしくホッとする瞬間でもあります。
参加者の皆さんも、たくさん勉強をして知識を持っていらっしゃるので、それに負けないようにと、私自身外部の講座に出たり、本を読んだり、色々な職業の方のお話を積極的に聞いたり、日々情報収集に努めてレベルアップのために精進しています。

今後カムリエでどのようなことをしていきたいですか?

カムリエのケーキは嚥下しやすいということはもちろん、エネルギーとタンパク質の量に留意して作られています。なので今後は病院や介護施設で低栄養になっている方の献立の副菜の1つに、月1回でもカムリエのケーキに置き換えてもらうことを目指しています。
栄養補給のための市販のムースやゼリーでも良いのですが、同じ栄養補給にするにしても見た目にも食欲をそそるケーキが食事に出ることで、患者さんの食べる意欲が大きく変化するのではないかと思っています。どんな方でも食べる楽しみはもっていると思います。まずはカムリエのケーキを知って食べていただくところから始めていきたいですね。

【Eatreatのカムリエ特典】
「Eatreat(イートリート)を見た」で、ショーケースの中のケーキ1つを無料にさせていただきます!
期間:2018年11月16日~2018年12月末日まで
※1ドリンクオーダーでお願いします。


住所: 東京都文京区本郷3丁目2−15 新興ビル 1F
電話: 03-3812-6036
サイト:http://www.kamulier-gc.jp/

みんなのコメント( 1

    • 川口 由美子
      2199日前

      離乳食アドバイザーも取得されている志水さんですよね! お店にうかがおうと思っていましたのにすっかり失念しておりましたが、こうして拝見できとても嬉しく、また同じ栄養士として大きな刺激になりました。近々お店にいきたいなと思えました♪本当に素敵な活動ですね。

WRITER

Eatreat 編集部

Eatreat編集部

Eatreat 編集部さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"高齢者の食事・介護食"に関するコラム

もっと見る