• COLUMN

今回は、食品メーカーで管理栄養士として活躍中の泉綾子さんにお話をうかがいました。

管理栄養士を目指したきっかけ

「食べることが好き!」これに尽きます。
高校3年生で進路に迷ったとき、仕事にするなら「好きな事をし続けたい」「専門知識(資格)を身につけたい」と思ったのが、管理栄養士を目指したきっかけでした。
そこで、大学は管理栄養士の資格が取得できる大学に進学し、大学の実習で「病院」「保健センター」「高齢者施設」でいろんな管理栄養士の方にお会いする中で、管理栄養士とひとくちに言っても専門性、必要とされることがこんなにも違うのか、と驚いたことを今でも覚えています。今思えば、それまでは管理栄養士といっても、小学校の栄養士さんにしか会ったことがなかったのです。

大学院で臨床と研究に興味を持つように

就職活動を考え始めたころ、ある先生との出会いをきっかけに大学院へ進学しました。大学院では、摂食嚥下障害患者や高齢者の栄養管理を専門とする研究室で、特に病院や施設で使用される「とろみ調整食品」の研究を行っていました。はじめは、正直「こんな研究をしたい!」というよりも、「この先生のもとで勉強してみたい!」というのが先だったと記憶しています。
大学院で印象に残った経験としては、先生が研究室で行っている研究をすぐに病院や施設で実用されるシステムづくりを構築されているのを間近で見ることができたことです。また、私の所属した研究室は、単位さえ取得できていれば3か月間好きなところに実習に行ってよいというシステムがあり、在宅を専門としている先生のもとで勉強できたことです。そこで、研究と臨床のギャップや理想と現実のギャップを体感することができました。この大学院での経験をきっかけに、摂食嚥下障害患者や高齢者の栄養管理はもちろん、臨床と研究に興味を持つようになりました。

特別養護老人ホームへの就職と食品メーカーへの転職

はじめての就職先は、直営の特別養護老人ホームでした。増設された新しい施設で、栄養マネジメント加算を算定するシステムづくりが私の初めの業務でした。偶然、ケアマネージャーも新しく入ってきたばかりで、どのようなカンファレンスをどの頻度で行うのか、どのような書類が必要なのかなどを分からないなりに一緒に作り上げたのを今でも覚えています。
日々の業務は、栄養マネジメント、ミールラウンド(食事介助)、カンファレンスなどの会議、献立作成、受発注、行事食の準備、調理のフォロー等でした。新たな取り組みとしては、課としてのブログの開設(情報発信)、経口移行・維持加算の導入、食形態の変更(刻み食の廃止)、とろみの基準作成に携わりました。この時の経験が現職でも活きています。

食品メーカーへの転職を決めたのは、全国の病院・施設の動向を知ることができるのではないかと思ったからです。例えば、私が経験したことは1施設の1事例ですが、メーカーにいると全国の情報が集まってくると思ったのです。その時には、一度現場から離れたら、現場にはもう戻れないと覚悟を決めました。

管理栄養士になってからの勉強が大事

ひとくちに管理栄養士といっても、その専門領域はとても幅広いです。専門領域によって、必要とされるスキルは大きく異なり、情報は毎日更新されていきます。大学で学ぶことと同じくらい、卒業後の勉強(情報収集)は重要だと思います。
例えば、現職で必須の領域「摂食嚥下障害」について、ただ単に食事に関することだけではく、関連する疾患や解剖学の知識があると理解が深まることがあります。私の場合は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士の資格取得のための勉強が一つの後押しになりました。その他の情報収集としては、これから必要とされるだろうと思われる分野の学会に参加したり、専門雑誌・書籍を読んだりしています。
次の1つの目標としては、食品表示についての知識が必要とされる機会が多いので、食品表示に関する資格取得を目指して、食品表示について勉強したいと考えています。
また、語学(英語)が多少なりとも話せる努力をしなければ…と感じることがあります。

管理栄養士の仕事にやりがいを感じる時

お客様や仕事の仲間から「ありがとう」をもらった時にとてもやりがいを感じます。
病院や施設の管理栄養士の先生、営業社員を通して聞くケースが多いのですが、「この商品に出会えて本当に良かった」と感謝の気持ちを伝えられたときには、とてもやりがいを感じます。私たちが対象とする方は高齢者がほとんどなので、“食べること”が命に直結する場合があります。そんな時にこの商品と出会えて良かったという言葉は、大変ありがたくもあり、身が引き締まる思いがします。

今後の目標

今後はもっと自分から情報発信していきたいと考えています。まだまだ、到底そのレベルには達しておりませんが、この分野ならフードケアの泉と言われるようになりたいです。

メーカーで働きたい管理栄養士を目指す人に一言

常に情報のアンテナを張ることかと思います。大学の授業ももちろん大切ですが、大学では学べない領域は山のようにあります。メーカーとひとくくりにいっても、またそこでの専門性は枝葉のようにあります。
単純に興味があることをとことん調べてみることからはじめてみるのはどうでしょうか。

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みんなのコメント( 5

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      1510日前

      近藤 葉月さま!コメントありがとうございます。高齢者の栄養についてはたくさんのコラムがありますのでぜひぜひそちらも。

      拍手 1

    • ID: 9343
      1515日前

      高齢者の栄養の研究をしたく院を探しておりここの記事にたどりつきました。勉強になります。

      拍手 4

    • ID: 313
      2044日前

      語学についてはわたしもいつも思います。

      拍手 3

    • ID: 361
      2053日前

      やっぱり ありがとうの一言に尽きますよね。

      拍手 3

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      2062日前

      Eatreat編集部です!
      今回は、食品メーカー(フードケア)で管理栄養士として活躍中の泉綾子さんのインタビューコラムです。
      泉さんはとても前向きで、これからもどんどん活躍してくれそうな方でした。

      拍手 11

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大学院で臨床と研究に興味を持ち、食品メーカーで活躍中の管理栄養士 泉綾子さん

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