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- 妊娠・出産・育児
- 2021.09.27
妊娠中の食事と体重管理「妊娠初期編」
妊娠初期(0~15週)は赤ちゃんの重要な器官が発達するため、葉酸を最も摂取したい時期です。つわりなどで食事が思うようにとれないこともあるため、妊娠前から食事のバランスを整えて、健康な身体づくりをするとより安心です。
妊娠初期に気を付けたい食事のポイント
妊娠初期の中でも4~7週は、赤ちゃんの脳や内臓などが作られる「器官形成期」と呼ばれ、この時期に葉酸摂取が不足していると、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害のリスクが高くなるといわれています。
葉酸は緑色の野菜や果物などに多く含まれますが、令和元年の国民健康・栄養調査によると、野菜の摂取量が目標量を下回っている女性が多いため、葉酸が不足しないよう注意が必要です。妊娠前から通常の食事に加え、サプリメントをプラスするなどして葉酸を積極的に摂取したいですね。
また、妊娠すると循環血液量が40%程度増加するため、こまめに水分をとらないと脱水になりやすく、便秘や頭痛の一因にもなります。
妊娠初期はにおいや味に敏感になることが多く、つわりが起こりやすい時期です。まずは、葉酸と水分が不足しないよう意識することが大切です。
食事の付加量について
妊娠中は妊娠前と比べて食事の量を増やす必要がありますが、妊娠初期のエネルギー付加量はわずか50kcalです。これはキウイフルーツ1個もしくはおにぎり1/3個程度になります。安易に「2人分食べる」というようにボリュームだけを増やすと、急激な体重増加を招いてしまいます。
妊娠中はビタミンやミネラルが不足しないように、食事の質を高めてバランスを整えることが重要です。さらに妊娠初期は、葉酸を食事から240㎍、サプリメントから400㎍摂取することが推奨されています。それ以外の栄養素は、付加量を考慮する前に必要量に過不足がないよう食事のバランスを整えることを優先させるとよいでしょう。
つわりの時の食事
妊娠初期はつわりの症状を感じることが多いですが、感じ方は個人差が大きく体調の波も個々によって変化があります。空腹や満腹になると吐き気が増すため、小分けにして少量ずつ食べることや、食べやすいものを食べられる分だけ摂取するのがおすすめです。いも類、果物、麺類、サンドイッチ、冷たい物などは比較的食べやすいといわれています。
水分が摂取できず尿量が著しく減る、嘔吐を繰り返す、体重が急激に減る場合は妊娠悪阻(にんしんおそ)と呼びますが、その際は無理せず受診してください。反対に食べていないと吐き気が増す「食べづわり」の場合は、無糖の炭酸水にレモンを絞ったり、低カロリーのゼリーやシュガーレスの飴などを利用し、食事量が大幅に増加しないようにするとよいでしょう。
こちらは簡単に作れる妊娠中におすすめのメニューです。ぜひ参考になさってください。
体重管理について
妊娠中の体重は、妊娠前のBMIによってそれぞれ増加量の目安があります。まずはBMIを算出し、自身の増加量を把握しましょう。妊娠中は1カ月に1~2㎏程度のペースで増加して行くことが理想的です。妊娠中期~後期は赤ちゃんがどんどん大きくなり、お母さんの体重も増加しやすいため、妊娠初期は体重を急増させないよう1カ月1㎏程度の増加を目標とするとよいでしょう。毎日同じタイミング(起床時、お風呂の後など)で体重を測定し記録しておくと、体重管理が成功しやすいです。つわりが終わると体重が急増しやすいため、食欲のままに食事をとらないよう気をつけましょう。BMI30以上の場合は、医師や助産師、管理栄養士等の助言のもと体重増加の目安量を決めていきます。
まとめ
妊娠をきっかけに意識して食事を改善することが多いですが、自己流でうまくいかないことや、体重をセーブしすぎることがよくみられます。厳しい体重管理により食事を我慢しすぎて、活気がなくうつ傾向になる妊婦さんも多くみてきました。妊娠初期から気軽に管理栄養士へ相談ができるよう、産科や地域では体制を整えていく必要があります。管理栄養士が関わることで、マタニティライフが豊かで楽しいものとなるようサポートできると私は考えます。
参考文献
・ベネッセコーポレーション:「月数ごとに見てわかる 妊娠・出産新百科」ベネッセコーポレーション(2010年)
・厚生労働省:「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針(令和3年3月)」妊娠中と産後の食事について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)(閲覧日2021年7月30日)
・厚生労働省:「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」000687163.pdf (mhlw.go.jp)(閲覧日2021年7月30日)
・日本産婦人科学会:「妊娠中の体重増加指導の目安について」日本産科婦人科学会雑誌第73巻第6号 (kyorin.co.jp)(閲覧日2021年7月30日)
・厚生労働省:「食事摂取基準2020」日本人の食事摂取基準 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)(閲覧日:2021年8月4日)
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・妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針 改定のポイント
・お腹の中~人生最期の時まで幅広く、その人らしい食事や生活が送れるようサポートしたい 沼倉真宝子さん
・妊娠期の口腔内の変化
みんなのコメント( 1 )
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- Eatreat 編集部
- 1153日前
2021年3月に妊婦の適正体重に対する指標が見直されました。そちらの内容もふまえ、イートリスタの沼倉真宝子さんに、妊娠初期の食事と体重管理について解説いただきました。
"妊娠中の食事と体重管理"のバックナンバー
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WRITER
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沼倉 真宝子
1日3回、1年で1000回 栄養を摂るためだけの食事ではなく、 日常に密着した食生活を一緒に考える。 気軽に相談できる場を創りたい。 個々に合ったライフステージごとの食事を提案します。 病院管理栄養士として14年勤務。総合病院、療養型病院、リハビリ病院、産婦人科病院を経験し様々なライフステージや臨床栄養を習得。栄養管理、給食管理、NST、在宅訪問栄養指導など幅広い業務経験あり。延べ3000人以上の栄養指導を実施。また、離乳食教室を8年主宰し、3500人以上の離乳食相談の経験を積む。指導媒体の作成や、セミナー講師も経験豊富。 プライベートでは、小学生の姉妹を育てるママ。自身の手術、癌で家族を亡くしたこともあり、「育児・闘病・自宅で家族を看る」当事者として同じ目線で、頑張り過ぎない方法を一緒に考えられるのではないか…。そんな経験から、疾病・介護予防や日常の食生活を共に考えられる仕事がしたいと思い2021年夏 独立。 フリーランスとして食育、栄養相談、在宅訪問、料理教室、SNS発信、地域活動など身近な栄養士として活動しています。 気軽に相談ができる場を創り、充実した食生活を送るお手伝いをします。 肩の力を抜きながら、無理なく続けられる食事。一緒に考えてみませんか?
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