今年8月下旬に令和4年「国民健康・栄養調査」についての結果が公表され、3年ぶりにさまざまな状況が把握されました。前回のコラムでは概要をまとめてお伝えしましたが、今回は栄養士、管理栄養士がこの結果を業務にどう活かしていくとよいか、アイデアを紹介します。
媒体・資料の作成
「国民健康・栄養調査」の結果は、媒体や資料の作成に活用できます。具体的には、給食だより、献立表に添える一言コメント、栄養指導の媒体などです。
どのような内容を活用するかは、媒体や資料の対象者によって異なりますが、例えば下記のような内容はいかがでしょうか。数字が入ることで信ぴょう性がグッと高まります。
テーマ
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記載例
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減塩
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食塩摂取量は男性は3g、女性は2.5gオーバーしている状況です。減塩のコツをお伝えします。
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野菜摂取
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野菜は約80g不足気味。味噌汁を野菜たっぷりにしたり、小鉢を1品プラスしたりしてみませんか?
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運動
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歩数の目標8,000歩に対し、平均歩数は男性6,465歩、女性は5,820歩。あなたは何歩、歩いていますか?
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集団教室・講座
集団教室や講座、セミナーなどで話をする際に、対象に合わせたデータを活用してみてはいかがでしょうか。対象者の年代や性別に合わせたデータを示したり、傾向を把握しておいたりすると、興味を引く講話を作ることができます。単にデータを示すのはもちろん、下記のような内容は、話のつかみにもぴったりです。
対象者
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活用例
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小学生の男女
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小学生のみんなに必要なカルシウム。給食では牛乳がよく出ていますよね。でも、実はそれだけでは不足しがちなことを知っていますか?
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40代の男性
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40代男性は、とても忙しい年代。そのためか、20代に続いて野菜の摂取量が少なくなっています。今日の昼食では、野菜をどのくらい食べましたか?
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60代の女性
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健康意識が高いといわれる60代の方は、20~50代の方に比べると、きのこや海藻などを意識して摂取しています。でも、20~50代の年代に比べてとりすぎているものが2つあります。何でしょうか?(食塩、菓子類)
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栄養指導・特定保健指導
最後は、栄養指導や特定保健指導への活用です。年代、性別による傾向を把握しておくと、指導の際に役立ちます。
例えば、40代は野菜摂取量が少なかったり、60代以上の女性は食塩摂取量が多かったりするといった傾向です。他にも、所得により食材の買い方が異なることを把握しておくと、無理のない提案ができるようになります。
ただし、国民健康・栄養調査の結果はあくまで集団の平均的な傾向です。個別の指導で必ずしも当てはまるわけではないため、目の前の対象者へのヒアリングがもっとも大切です。実際に指導を行う際は、個人の状況や生活に見合った、適切なアドバイスを行いましょう。
毎年、最新データを活用しましょう
今回は3年ぶりの調査となりましたが、国民健康・栄養調査は毎年行われている調査です。結果を活用する際は、最新のものであるかどうかを確認しましょう。また、より充実した業務になるよう、上手に結果を活用してみてください。
参考文献
・厚生労働省:「令和4年「国民健康・栄養調査」の結果」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42694.html、(閲覧日:2024年10月9日)
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