• COLUMN

top

令和6年8月に令和4年「国民健康・栄養調査」についての結果が厚生労働省より公表されました。今回の調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を経て、3年ぶりに行われたものです。今回は栄養士、管理栄養士がチェックしておきたいポイントに絞って、結果をまとめてお伝えします。

身体の状況

参考)厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html

まず、20歳以上の肥満者(BMI≧25kg/m2)の割合は、男性は31.7%、女性は21.0%となっています。3年前の調査結果と比較すると男女ともに減少していますが、直近10年間でみると男性は増加しており、女性は横ばいの状況です。

栄養・食生活に関する状況

参考)厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html

続いて、20歳以上の食塩摂取量の平均値は9.7gであり、男性では10.5g、女性では9.0gとなっています。直近10年間でみると、男女とも減少しているのがわかります。とはいえ、日本人の食事摂取基準(2020年版)の目標量である男性7.5g未満、女性6.5g未満の数字にはまだ遠い状況です。今後も減塩していく必要があるといえるでしょう。

参考)厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html

20歳以上の野菜摂取量の平均値は270.3gであり、3年前の調査結果と比較すると10g以上減少しています。直近10年間では、男女とも減少傾向です。健康日本21(第三次)における1日の野菜摂取目標量である350gに対し、約80g不足しています。
生活習慣病を予防して健康を維持するためにも、栄養士、管理栄養士は、引き続き野菜の摂取量を増やすように呼びかけていくことが大切です。

身体活動・運動に関する状況

参考)厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/chosakuken/index.html

歩数の状況をみてみると、20歳以上の平均値は男性で6,465歩、女性で5,820歩でした。3年前と比較すると男性は328歩、女性は12歩ほど減少しており、直近10年間では男女とも減少傾向です。
健康日本21(第三次)における歩数の目標は、男女ともに20~64歳では8,000歩、65歳以上は6,000歩とされています。生活習慣病の予防や社会生活機能の低下を防ぐためにも、歩数を増やして活動量を増やせるよう、呼びかけをしていきましょう。

世帯の等価所得と生活習慣等に関する状況

今回の調査では、世帯の等価所得別に生活習慣の状況が把握され、一部の項目で有意な関連がみられています。
例えば、野菜摂取量は男女ともに600万円以上の世帯員と比較して、200万円未満の世帯員で10%ほど少なくなっています。また、所得が低くなるほど喫煙者の割合が増えることもわかりました。

新型コロナウイルス感染症による変化の状況

新型コロナウイルス感染症による変化の状況も調査が行われています。例えば、体重については「減った」より「増えた」と回答した者の割合のほうが高くなっています。また1週間当たりの運動日数については「増えた」より「減った」と回答した者の割合のほうが高いという結果です。
ただし、この結果は「回答までの1ヶ月間における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による変化(調査は令和4年11月~12月に実施)」を調べたものです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大がみられるようになった令和2年からの変化ではない点に注意が必要です。

詳細は調査結果の確認を

今回紹介した内容は、ほんの一部です。他にも、やせの割合や睡眠、飲酒、喫煙など、さまざまな状況が把握されています。詳細は『令和4年「国民健康・栄養調査」の結果』をぜひご確認ください。
次回のコラムでは、この結果を栄養士、管理栄養士が業務にどのように活かすかを解説します。



参考文献
・厚生労働省:「令和4年「国民健康・栄養調査」の結果」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42694.html、(閲覧日:2024年10月9日)
・厚生労働省:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html、(閲覧日:2024年10月9日)
・厚生労働省:「健康日本21(第三次)」、厚生労働省、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html、(閲覧日:2024年10月9日)




関連コラム
【解説】健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 ~概要編~
【改めておさらい】日本人の食事摂取基準とは?



コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      35日前

      先日公開された令和4年「国民健康・栄養調査」の結果について、栄養士、管理栄養士がチェックしておきたいポイントを管理栄養士の広田千尋さんが解説します。

      拍手 0

"令和4年「国民健康・栄養調査」について"のバックナンバー

もっと見る

WRITER

ポイント解説~令和4年「国民健康・栄養調査」について~

広田 千尋

保育園、保健センター、病院などであわせて13年の経験を積んだ後、2020年よりフリーランスとして活動を開始しています。 主な仕事は執筆、レシピ作成です。 執筆はわかりやすさを重視した記事作成を心がけており、執筆本数は1000本以上です。Eatreatアカデミーにて、ライティング講座の講師を務めさせていただいております。 またレシピ作成では、身近な材料で簡単に作れて、健康になれるおいしいレシピを心がけています。

広田 千尋さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"指導・監査・診療報酬"に関するコラム

もっと見る

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ