厚生労働省は、令和6年1月に「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」を策定しました。本コラムでは、その概要についてご紹介します。
「健康日本21」と「身体活動・運動ガイドライン」の歴史
厚生労働省は2000年(平成12年)以降、一次予防の観点から国民の健康増進を図るための対策として「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を実施しています。
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、令和6年から始まった「健康日本21(第三次)」における身体活動・運動分野を推進する取り組みの一つとして策定されました。
健康日本21(第三次)の中に掲げられている身体活動・運動分野に関する目標として
① 日常生活における歩数の増加(目標値:7100歩)
② 運動習慣者の増加(目標値:運動習慣者の割合40%)
③ 運動やスポーツを習慣的に行っていないこどもの減少(目標値:第2次成育医療等基本方針に合わせて設定予定)
④ “「居心地が良く、歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む市町村数の増加”(目標値:100市町村)
の4つの項目について、目標値が定められています。
「身体活動基準」から「身体活動・運動ガイド」へ
「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、最新の科学的知見に基づき「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分以上行うことを推奨する」などの定量的な推奨事項だけでなく、対象者別(成人、こども、高齢者)、個人差を考慮した内容に改訂されています。
また、「基準」という名称が、すべての国民が等しく取り組むべき事項であるという誤解を与える可能性を考慮し「ガイド」という名称に変更されました。
身体活動・運動の概念
「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費する、骨格筋の収縮を伴う全ての活動 と定義されています。さらに身体活動は、「生活活動」と「運動」に分けて考えられます。
・生活活動:日常生活における労働・家事・通勤・通学などに伴う活動
・運動:スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・定期的に実施する活動
健康づくりのための身体活動・運動ガイド 推奨事項の概要
「健康日本21(第三次)」では、ライフステージ ※1 やライフコースアプローチ ※2 を踏まえた健康づくりに重点が置かれています。「健康づくりのための身体活動・運動ガイド」でも、ライフステージ(成人・こども・高齢者)ごとに、推奨事項がまとめられています。今回、新たに「座位行動 」という概念が取り入れられました。これは座りすぎを避け、今よりも少しでも多く身体を動かすことを基本とし、立位困難な人でもじっとしている時間が長くなりすぎないように身体を動かすことを推奨するものです。
※1ライフステージ:幼児期、青壮年期、高齢期などの人の生涯における各段階のこと。
※2ライフコースアプローチ:胎児期~高齢期に至るまでの人の生涯を経時的に捉えた健康づくりのこと。
まとめ
「健康づくりのための身体活動・運動2023」の概要についてご紹介しました。
「健康日本21(第三次)」の目標に合わせて、ライフステージ(成人・こども・高齢者)ごとに推奨事項が設定され、個々に合わせた活用が可能となっています。
次回は、おさえておきたいポイントについてご紹介します。
参考文献
・健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf (閲覧日:2024年4月)
・健康日本21(第三次)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kenkounippon21_00006.html (閲覧日:2024年4月)
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