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前回のコラムでは、健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023の概要についてご紹介しました。今回のコラムでは、管理栄養士・栄養士としておさえておきたいポイントについてご紹介します。

筋力トレーニングが新たに追加

国際的な身体活動ガイドラインの策定のために実施されたレビュー(主に介入研究)において、筋力トレーニング(筋トレ)により、筋力、身体機能、骨密度が改善し、高齢者では転倒や骨折のリスクが低減することが示されました。そのほか、筋トレの実施により、総死亡、心血管疾患、全がん、糖尿病の発症リスクが低下するなどの根拠が示され、新たに筋トレが推奨事項として追加されました。また、ウォーキングなどの有酸素運動と組み合わせることで、さらなる健康増進効果が期待できると考えられています。

▶筋トレの種類
・ウェイトトレーニング(マシンやダンベルなどを使用して行う)
・自重トレーニング(自分の体重を負荷にして行う腕立て伏せやスクワットなど)

▶推奨されるライフステージ
・成人
・高齢者

▶筋トレのポイント
① 特定の部位だけでなく、上半身(胸、背中、上肢、腹)と下半身(臀部、下肢)をまんべんなく鍛えることが望ましい。
② 日常生活レベル以上の負荷で筋トレを行い、重さや回数で調整しながら、少しずつ負荷を高める。
③ しっかりと筋肉を休める時間(休息日)をとり、週2~3日の実施が望ましい。

全身持久力の新たな基準値が改訂

全身持久力の指標に最高酸素摂取量(VO2peak/kg)があります。これは、より厳密に測定される最大酸素摂取量(VO2max/kg)と同様、さまざまな要因による死亡や疾患発症の強力な予測因子となります。
「健康づくりのための身体活動基準2013」で示されていた全身持久力の基準値は、20歳代男性では約90%がすでに達成できている目標であり、逆に50歳代以上では5~25%しか達成できていない目標となっていました。実情との乖離があり、「余裕で基準値を超える」「基準値を達成することはできない」といった誤った認識を生む可能性が懸念され、新たに性・年代別に全身持久力の基準値が示されました。

身体活動とエネルギー・栄養素について たんぱく質は身体活動量に応じて摂取

健康の保持・増進のためには、エネルギー収支バランスを適切に保ち、必要な栄養素を過不足なく摂取することが基本となります。また、身体活動量に応じてエネルギーや栄養素の必要量が変動します。
運動不足は、体たんぱく質の異化状態を招き、適度の運動は、食事性たんぱく質の利用を高めます。また、激しい運動は、たんぱく質分解を亢進させます。
たんぱく質摂取量と筋肉量増加の間の用量反応関係に関する系統的レビューによると、毎日の総たんぱく質摂取量が体重1㎏あたり0.1g/日増加すると、2~3か月で筋量0.39㎏の増加が期待できました。一方、体重1㎏あたり1.3g/日を超えると筋量増加の効率が悪くなり、たんぱく質摂取量が多ければ多いほど筋肉量が増えるわけではないことが示されました。
必要量以上のたんぱく質摂取は、腎機能などの健康障害リスクを高める可能性もあり、身体活動に応じた量をとることが重要です。

まとめ

2回にわたり「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」についてご紹介しました。ガイドは、ツールの見やすさ等も考慮されており、管理栄養士や健康運動指導士などの健康づくりに関わる専門家にとって活用しやすいものとなっています。
ぜひ、実際のガイドにも目を通してみてくださいね。


参考文献
・厚生労働省 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
https://www.mhlw.go.jp/content/001194020.pdf (閲覧日:2024年4月)
・国立健康・栄養研究所 改訂版『身体活動のメッツ(METS)表』
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf (閲覧日:2024年4月)



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      13日前

      令和6年1月、厚生労働省から公表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でおさえておきたいポイントについて、管理栄養士の松岡喜美子さんに解説いただきます。

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WRITER

【解説】健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 ~おさえておきたいポイント編~

松岡 喜美子

循環器病予防療養指導士 かがわ糖尿病療養指導士,ベーシックインストラクター(JCCA)、貯筋運動指導者、歯科栄養アドバイザー2級 大学卒業後、糖尿病クリニックでの栄養指導に従事しながら健康運動指導士を取得。 2008年よりフリーとしての活動を開始。 特定保健指導の立ち上げからスタッフ育成などにも携わり、これまでの指導件数は1万件以上。 生活習慣病予防セミナーの講師や企業やスポーツクラブでの運動指導なども行っている。 その他、企業HPのコラム執筆なども担当し、健康情報の発信や商品マーケティングなども行っている。 「栄養不良の二重負荷」という問題に対して、世界に貢献できる管理栄養士を目指しています。 ★2023年7月~ 訪問栄養指導をスタートしました。 プラダ―ウィリー症候群(PWS)の症例に関わられたご経験がある方、情報共有できたらうれしいです。

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