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厚生労働省が公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」は、アルコール健康障害対策基本法に基づいて策定されています。日本初の飲酒に関するガイドラインですので、管理栄養士の皆さんはぜひチェックしてください。

飲酒量を純アルコール量で把握する

前回のコラムでご紹介した通り、飲酒による体への影響が明らかとなりました。このことからも、健康リスクを減らすために自分に合った飲酒量を決めて、健康に配慮した飲酒を心がけることが大切です。 本ガイドラインでは、自分に合った飲酒量を把握するために、お酒に含まれる純アルコール量の算出式が示されています。算出式を用いることで、食品のエネルギー(kcal)のようにその量を数値化できます。

日本における疾病別の発症リスクと飲酒量

お酒に含まれる純アルコール量を算出できたら、次にさまざまな疾病の発症リスクとの関連を知ることが大切です。本ガイドラインでは、日本人を対象とした研究のエビデンスに基づいた、飲酒量(純アルコール量)と疾病の発症リスクが示されています。

自分の純アルコール摂取量を把握し、疾病の発症リスクを知ることで、飲酒に関する具体的な目標設定など自身の健康管理に活用することができます。

健康に配慮した飲酒の仕方について

本ガイドラインでは、飲酒に伴うさまざまなリスクを避け、健康に配慮して飲酒するための留意点が呼びかけられています。

①自らの飲酒状況等を把握する
自分の状態に応じた飲み方をすることで、飲酒のリスクを減らすことができます。医師に相談するほか、AUDIT(アルコール関連問題の重症度の測定を行うスクリーニングテスト)などを活用しましょう。

②あらかじめ量を決めて飲酒をする
自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながるといわれています。外食時やイベント時なども、何をどれくらい飲むかを自分で決めて飲むことが大切です。

③飲酒前または飲酒中に食事をとる
血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。空腹時での飲酒には要注意です。

④飲酒の合間に水や炭酸水を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする
水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒する、少しずつ飲酒する、ノンアルコール飲料を選ぶなどを心がけ、飲む量に占める純アルコール量を減らします。

⑤一週間のうち、飲酒をしない日を設ける
毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。一週間の純アルコール摂取量を減らすために、定期的に休肝日を設けることが必要です。

Point!
減酒指導する際は、水割り、お湯割り、ソーダ割りでお酒を薄めたり、飲み過ぎを防ぐためにチェイサーを挟んだりすることを提案すると、対象者の方も取り組みやすいのではないでしょうか。

最近ではノンアルコールビールやノンアルコールカクテルも増えていますので、喉越しや雰囲気を楽しみたいだけのときはこれらもおすすめです。また、無理なく休肝日を設定するために、自宅では買い置きをせず、いつでも飲める環境にしない刺激統制法もあります。



本コラムでは、管理栄養士が知っておきたい「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について解説しました。管理栄養士の皆さんの知識のブラッシュアップにつながりましたら幸いです。



参考文献
・厚生労働省:「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」、
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf、(閲覧日:2024年5月28日)



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みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
    • Eatreat 編集部
      56日前

      「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」について管理栄養士の大内美幸さんに解説いただきます。今回は飲酒量の把握と健康に配慮した飲酒法についてです。

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WRITER

飲酒量の把握と健康に配慮した飲酒法 〜健康に配慮した飲酒に関するガイドラインを解説〜

大内 美幸

Eatreat株式会社/コミュニケーションマネジャー 認定栄養CS Eatreat/代表管理栄養士 レシピ動画アプリや献立作成アプリなど、多くのIT企業で管理栄養士として従事してきました。 食領域でのマーケティング経験も多数あります🍽 現在は、飲食店の立ち上げサポートや監修のほか、次世代の栄養士の人材育成にも力を入れています。 運営するEatreatアカデミーの卒業生は1,000名超え📝 Eatreatのことを知っていただくために、PR活動もがんばっています♪

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