• COLUMN

仕事の後の仲間や家族との一杯が1日頑張った自分へのごほうびという方も多いのではないでしょうか。
楽しい時間ではありますが、お酒が入ると自制心が弱まりやすくなるため、ついつい飲み過ぎたり食べ過ぎたりしてしまいます。今回はせっかくの楽しいお酒の時間を後々後悔しないために、美味しくお酒を楽しむコツを管理栄養士の視点からお伝えしていきたいと思います。

二日酔いになるメカニズム

最初に二日酔いになるメカニズムについて簡単に説明します。身体の中に入ったアルコールは胃や小腸で分解され、血液とともに全身を巡ります。肝臓に運ばれると酵素の力で、『アセトアルデヒド』に分解されます。さらに別の酵素によって酢酸に分解されて、その後、身体の中で二酸化炭素と水になります。
これらの酵素の量や働き方には個人差があります。お酒に強い人、弱い人がいるのはそのためです。お酒を飲み過ぎてしまうと、肝臓の処理能力を超えたアルコールが身体の中に入ることになり、アルコールやアセトアルデヒドが分解されずに肝臓の外に出ていきます。アルコールは脱水や低血糖などを引き起こし、またアセトアルデヒドには毒性があるので、翌日の朝、頭痛や吐き気に悩まされることもあります。これが二日酔いです。

飲み過ぎによる二日酔いを防ぐのはなかなか難しいことですが、以下のような対策が挙げられます。

・「○杯まで」と杯数を決めて飲む
・水と交互に飲む
・途中から甘味のないノンアルコール飲料に変更する

太りたくないという方へ

飲み会の予定などが入っている日に、それを見越して朝から何も食べない方がいらっしゃいますが、これはかえって食べ過ぎを招く原因となります。また、お酒を飲む時にご飯を抜く方もたまにお見かけします。その分、お酒の量を多めにしても大丈夫だろう…という思惑からだと思いますが、食事量をコントロールするのであれば、前日や翌日の食事を軽くするなど数日をかけて行うか、本来であれば1週間や10日単位で行うのがベストです。また、お酒を飲む日の間食を控えるのも方法の一つです。

アルコールのカロリーは、1gで7kcal。一方、炭水化物のカロリーは、1gで4kcalです。アルコールは炭水化物(砂糖)よりも高エネルギーなのです。参考までに、ビールのカロリーはコップ1杯で約100kcalで、これはご飯なら1/2杯分に相当する量です。
そしてカロリーのみならず、血糖値を急激に上げるという点でも砂糖以上です。砂糖は消化酵素によってブドウ糖に分解されてから体内に吸収されますが、アルコールにはこのプロセスがないので、吸収が速く、そのため血糖も急速に上がります。お酒による血糖値の上昇を抑えるために、最初からアルコール度数の高いお酒を飲むことは控えた方がいいでしょう。

次回はお酒の種類による違いなどについてお話します。

関連コラム
透析療法中のお酒との付き合い方
妊娠中のアルコールはなぜダメなの?①
糖尿病の食事指導の行い方

コメントを送ろう!

「コメント」は会員登録した方のみ可能です。

みんなのコメント( 2

    • ID: 75
      2454日前

      お酒を飲むと、たまに低血糖の症状に似たような感じで、冷や汗をかいたり、めまいやあくびがでますが
      あれは急激な血糖値の上昇のリバウンドなのか、それとも低血糖を引き起こす作用なのか・・・
      気をつけながら適量を飲んでみます!

      拍手 0

    • ID: 324
      2454日前

      とても勉強になりました。
      途中から甘味のないノンアルコール飲料に変更するのが難儀です。

      拍手 0

WRITER

管理栄養士に聞く!お酒と上手に付き合う方法①

小山 幸子

現在は病院、クリニックでの食事サポート、調理実習のほか、食コラムの執筆等。 『この食事が、人生で最後の食事かもしれない』を、モットーに業務に携わっている。 メカオンチのあがり症。 高校卒業後、会社員として8年間勤務後、26歳で栄養士養成校へ。 教員より年上の生徒だった経験を持つ異色の栄養士。 毎日書道会 会友 (雅号:小山 桃花)

小山 幸子さんのコラム一覧

関連タグ

関連コラム

"栄養の知識・食育"に関するコラム

もっと見る

ログインまたは会員登録が必要です

会員登録がお済みの方

ログイン

まだ会員登録をされていない方

新規会員登録

ページの先頭へ