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管理栄養士に聞く!お酒と上手に付き合う方法①
今回も、管理栄養士の視点からお酒と上手に付き合う方法ポイントについてお伝えさせていただきます。
お酒の種類による違い
お酒は、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒とビールやワイン、日本酒といった醸造酒に分類されます。蒸留酒は、醸造酒に比べて糖質が少ないのでエネルギーが低くなりますが、焼酎やウイスキーに代表されるように、蒸留酒はアルコール度数が高いため、肝・膵疾患、心・脳血管疾患の発症率や死亡率のリスクが高くなります。飲みやすいようにと、お湯割りやソーダ割りなどにすると、ついつい飲む量が増えてしまうので注意が必要です。
また、ビールや女性を中心に人気の甘いカクテルなどは糖質もエネルギーも多いため、太りやすいお酒に分類されます。飲み過ぎに注意しましょう。
また、高尿酸血症を気にしてプリン体が少ないお酒を選ぶ方がいらっしゃいますが、実は高尿酸血症の原因の多くはプリン体ではなくエタノールです。プリン体が少ないお酒を選んだからといって、大きな期待はできません。
飲む前にひと工夫
体重が増える原因は、お酒そのものよりもつまみの影響が大きいようです。そこで飲み会が始まる30分前に野菜ジュースを飲み少しお腹を膨らませておくと、食べ過ぎ防止になります。また、血糖の急上昇も抑制することができます。すきっ腹の状態でお酒を飲むことは胃や腸に強い刺激を与え、胃や腸の粘膜を荒らすおそれがあります。特にアルコール度数の強いお酒は要注意です。この点からもお酒を飲む前に、少しでも何かお腹の中に入れておくことをお勧めします。
おつまみのポイントや注意点
お酒で摂るエネルギーを考えると、おつまみは600kcal以下が理想的です。高エネルギーのメニューは、肝臓に負担をかけ肥満を招くため、注意が必要です。
飲む前にお通しがあるといいのですが、お通しがない場合は、最初に枝豆や豆腐、ネバネバ食品をいただくといいでしょう。大豆類は、肝臓でアルコールの分解を助けるたんぱく質やビタミンB1が豊富に含まれており、ネバネバ食品は、消化管の粘膜を保護する役割をしてくれます。ただし、枝豆を食べる時は塩分の摂り過ぎに気を付けましょう。揚げだし豆腐や厚揚げをいただく場合は、脂質が高めなので、ノンオイルの野菜料理などと組み合わせるといいでしょう。
魚料理ならば、低エネルギーで低脂質、そして高たんぱく質な刺身料理をお勧めします。旬の味を楽しむために、ネタにはしょう油を片面つけ、つま野菜を巻いて食べましょう。
干物や練りものには塩分が多く、揚げ物は脂質が多めなので、数人でシェアして食べるのがいいですね。串物は1串ずついただけるのがメリットですが、野菜以外の串を何本も食べると、たんぱく質も塩分も多くなり、また、串揚げの場合には、5,6本で1日分の脂質量を摂取することになるため、脂質に注意が必要です。焼き鳥の鶏皮は1本で約150kcalで、鶏もも肉の3倍のカロリーになります。ギョーザは脂質と糖質が多く、塩分に関しても下味の段階で一皿1gほどの食塩が使われているので、タレは控えめにしましょう。
冬に限らず人気のおでんは具材の練り物自体に含まれる食塩量が多いため、煮汁を飲むのは控えましょう。
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