私たちは毎日必ず食事をとります。ただ食べるだけ、お腹を満たすだけでは、健康を維持することはできません。「健康を維持するためにどの栄養素をどれくらいとる必要があるのか」を数値化したものが日本人の食事摂取基準です。
今回は、この「日本人の食事摂取基準2020版」について改めて考えてみたいと思います。
食事摂取基準は健康を維持するためのガイドライン
「日本人の食事摂取基準」は、国民が健康を維持・増進、生活習慣病を予防するために目安となるエネルギーと33種類の栄養素の摂取量の基準を示したものです。
この基準の対象となるのは、健康な個人や集団です。「血圧・脂質・血糖値が高め」のような生活習慣病に関する危険因子を持つ人や高齢者の場合、※フレイルに関する危険因子があっても自立した生活を送れていればその対象に含まれます。
また、疾患がある個人や集団、疾患に関する高いリスクのある個人や集団に対しての治療を目的とする場合は、各疾患の治療ガイドラインの栄養管理指針を用います。この栄養管理指針の基本となっているのも「日本人の食事摂取基準」です。
※フレイル:加齢とともに運動機能や認知機能が低下し、社会的なつながりが弱くなった状態
推定エネルギー必要量の評価はBMIと体重変化で行う
エネルギー必要量は、「エネルギー消費量との均衡がとれるエネルギー摂取量」と定義されています。つまり、体重を保つために必要とされるエネルギー量が「推定エネルギー必要量」です。
食事摂取基準に定められている「推定エネルギー必要量」の算出方法は、大きく分けて4パターンあります。
これらのパターンに当てはめて年齢、性別による参照値を基に算出され一覧表となったものが以下の表です。
エネルギー必要量は個人差が大きく、推定エネルギー必要量を満たすことが目的ではありません。BMIや体重変化、乳児や小児については成長曲線にあてはめてエネルギー量が適正かどうかについて個別にアセスメントを行う必要があります。
33種類の栄養素と基準値の3つの目的
食事摂取基準では、基準が定められている栄養素が33種類あります。
これらの指標は、3つの目的からなる5つの指標から構成されています。
具体的には、「摂取不足を回避する3つの指標」「過剰摂取の回避を目的とする指標」「生活習慣病の発症予防を目的とする指標」から構成されています。
食事摂取基準で扱う生活習慣病とは、「高血圧」「脂質異常症」「糖尿病及び慢性腎臓病(CKD)」を基本としています。
栄養素の指標は、全て身体活動量Ⅱに合わせて基準値が決定されています。
まとめ
日本人の食事摂取基準は、健康な人が健康を維持・増進するためのガイドラインです。
5年毎に改訂されており、最新版である日本人の食事摂取基準(2020年版)は、生活習慣病の発症予防や重症化予防、高齢者の低栄養やフレイルにも対応しています。
次回、より詳しく基準値の意味を見ていきましょう。
参考文献
・日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf、(閲覧日:2022年7月29日)
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