前回に引き続き、日本人の食事摂取基準(2020年版)の改定ポイントについてご説明します。今回は「フレイル対策編」です。
フレイルについて
フレイルとは自立と要介護状態の中間に位置する状態と捉えることができます。また、適切な介入によって自立に戻すことができる可能性のある状態と捉えられ、Friedらにより、①体重減少、②主観的疲労感、③日常生活活動量の減少、④身体能力(歩行速度)の減弱、⑤筋力(握力)の低下のうち、3項目が当てはまればフレイルとし、1~2項目が当てはまる場合はフレイル前段階と診断されるようになりました。
さらに、フレイルには健常状態と要介護状態の中間的な段階と位置付ける「表現型フレイル」と、ハイリスク状態から重度障害状態までを含める「障害(欠損)累積型フレイル」がありますが、今回の改定では表現型フレイルの概念が取り入れられています。
フレイル予防のための改定ポイント
1.年齢区分
2020年版より65~74歳、75歳以上の2区分が設定されました。
2.目標BMI
65~74歳:21.5~24.9
75歳以上:21.5~24.9
3.推定エネルギー必要量
推定エネルギー必要量=基礎代謝基準値(kcal/kg体重/日)×参照体重(kg)×身体活動レベル
4.たんぱく質
(1)たんぱく質推奨量
1歳以上全ての年齢区分に対して男女ともに、たんぱく質維持必要量を0.66g/kg体重/日とされた。また、日常食混合たんぱく質の利用効率は18歳以上を0.9、推奨量算定係数は1.25で、以下のようにこれらをかけると推奨量となります。
推奨量=推定平均必要量(たんぱく質維持必要量÷日常食混合たんぱく質の利用効率)×推奨量算定係数
すなわち、
推奨量=0.66g/kg体重/日÷0.9×1.25≒0.92g/kg体重/日
(2)たんぱく質目標量
1歳以上の全年齢区分において摂取エネルギー量のたんぱく質の占めるエネルギー比率の上限を20%としています。よって、高齢者においては推奨量を満たした上で、生活習慣病やフレイル、サルコペニアの予防目的にこの目標量を上限とし、その病態に適切なたんぱく質量を摂取する必要があります。
参考文献
日本栄養士会雑誌 第63巻 第1号 日本栄養士会 2020
横原さんのコラム紹介:初心者でも大丈夫!監査の虎の巻シリーズ
『①監査に必要な資料とポイント~事前準備・心得、衛生関係の帳票~』
『②監査に必要な資料とポイント~衛生関係の帳票~』
『③監査に必要な資料とポイント~給食管理関係の帳票~』
『④監査に必要な資料とポイント~給食管理関係の帳票(続)~』
『⑤監査に必要な資料とポイント~栄養管理関係、その他の帳票等~』
『⑥監査に必要な資料とポイント~監査前後のチェックポイント~』