COLUMN

2026年1月30日、31日、2月1日の3日間、国立京都国際会館にて、第29回日本病態栄養学会年次学術集会が開催されました。東京医科大学腎臓内科学分野の菅野義彦先生を大会長とし、第30回に向けて新しい試みもされた会でした。

肥満症に関する内容が多く取り上げられていた

本学術集会では毎年さまざまなトピックスが扱われていますが、今年は特に「肥満症」が取り上げられていたように感じました。
以前より、糖尿病に対してインクレチン関連薬が使用されていましたが、近年は肥満症を対象に使用されるようになってきています。この背景には、保険算定をする条件として「管理栄養士による2ヶ月に1回以上の栄養指導を6ヶ月実施しても十分な効果が得られない場合」といった背景があるからかもしれません。
また、肥満症の栄養管理の注意点としては、減量時には除脂肪体重の減少がみられるため、高たんぱく質の食事(1.2~1.5g/kg/日)の摂取が推奨されるとのことでした。しかし、1食でたんぱく質を必要以上に摂取しても、体内でのたんぱく質合成量は変わらないとの報告もあります。極端な例ではありますが、1日1回で1日に必要なたんぱく質量を摂取するのではなく、1日3食で分割して食べる必要がありそうです。
さらに、薬物療法終了後はほぼリバウンドが起こるため、終了後も継続した食事・運動療法の実施が重要とのことです。

腎機能とカリウムについて

以前より、腎機能低下している人はカリウムの摂取に留意が必要という共通認識がある一方、野菜・果物の摂取については賛否両論ありました。
今回の発表では、個人差はあるものの、カリウム摂取量が増えても、腎・便への排出が増加し、カリウム濃度上昇には影響しないとの報告がありました。また、野菜・果物を摂取している人の方が総死亡率が低いというデータも示されました。
そもそも、腎機能が低下していると代謝性アシドーシスになりやすいですが、代謝性アシドーシスと高カリウム血症は表裏一体です。動物性食品、乳製品などは酸性食品なので、アシドーシスを助長しますが、植物性食品はアルカリ性食品で、摂取すると体内で重炭酸イオンが産生されるため、アシドーシス対策として好ましいというのです。
「CKD診療ガイドライン2024」でも、代謝性アシドーシスに対する食事療法でアルカリ性食品の摂取について言及されていますので、ぜひご参照ください。

病院食の経営管理について

食材料費や人件費の高騰により、多くの職場でもその影響と対応にご苦労されていることと思います。栄養管理の必要性は高まる一方、給食での個別化ニーズへの対応の落とし所に悩む方も多いのではないでしょうか。
演題発表では、クックチルから完全調理済み食品への移行で調理師の時間外業務時間が短縮した例や、委託給食会社の急な撤退を完全調理済み食品で乗り切った事例、自動ごはん盛り付け機の導入などの報告がありました。どの発表でも共通して比較的早期に見直しがされていたのが、サイクルメニューの期間です。現在では平均在院日数も年々短くなってきており、過去20年で20.2日から15.5日と約5日間短縮しています。私自身、以前勤務していた病院では5週サイクルの献立をベースに、季節ごとのメニューを織り交ぜて献立作成していました。しかし、現在の在院日数を考慮すると、今はそこまでの長さは必要ないのかもしれません。サイクルの短縮により、取り扱う食材品目数が減り、フードロスを抑えられることで食材料費の削減が見込めます。その他にも毎食の予備食の削減、予備食をクックチル調理済み食にするなどの対応を検討する価値もあるのではないでしょうか。

まとめ

次回は2027年1月29日〜31日、国立京都国際会館で開催されます。記念すべき第30回は管理栄養士主体で開催されるので、ぜひ参加してみてください。日々の業務に活かせる何か気づきが得られるかもしれません。



参考文献
・一般社団法人 日本腎臓学会:CKD診療ガイド2024
https://cdn.jsn.or.jp/medic/guideline/pdf/guide/viewer.html?file=1-178_v3.pdf
・厚生労働省:平成16年(2004)年医療施設(動態)調査・病院報告の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/04/dl/data.pdf
・厚生労働省:令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概要
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/24/



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WRITER

イートリスタ

横原 夢見

病院勤務を経て、現在はフリーランスとして専門学校の非常勤講師、コラム執筆、地域活動などを行っています。

横原 夢見さんのコラム一覧

みんなのコメント( 1

    • Eatreat 編集部
      3時間前

      管理栄養士の横原夢見さんにご紹介いただく、第29回日本病態栄養学会年次学術集会の参加レポートです。

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