前回は、運動目標を立てる際にで押さえておきたい身体活動・運動の目安やメリット、安全に行うためのポイントなどをご紹介しました。目安も大切ですが、そこにとらわれすぎず、その方のライフスタイルに合わせた運動目標を立てることが重要です。
そこで、今回は現場で使える具体例をご紹介します。
身体を動かすことへの意識が低い方
・身体を動かすメリットについて一緒に考えてみる
動ける身体づくりは、将来の生活や生きがい、趣味などを守ることにつながります。実際の生活と紐づけると、自分ごととして捉えやすくなる方もいます。
「きつい運動をしなければならない」と考えている方には、健康のために必要な運動はきついものだけではないということをお伝えしてみましょう。
・セルフモニタリング
日々の歩数をチェックし見える化することで、「思ったよりも動けていない」「座っている時間が長い」など、身体を動かすことが今後取り組むべき課題だと気づきやすくなります。
最近は、無料のアプリも充実しています。中にはポイントを集められるアプリもあり、そういったインセンティブが動機づけになることもあります。
時間がとれない方
・ちょっとでも動く
まとまった時間が取れない方は、「ちょっとでも動く」「今の生活に+αする」機会づくりを提案します
<具体例>
・エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を使う
・駐車場では、入口から遠いところに車を停める
・ランチは少し遠くのお店へ行く
・ながら運動やストレッチ
「何ができそうか」も大事ですが、動けるタイミング、隙間時間を一緒に探してみるのもよいでしょう。信号待ちや電車・電子レンジの待ち時間、テレビを見ながらなどといったタイミングに、ながら運動やストレッチの提案ができます。
運動習慣がないが、始めようと思っている方
生活の中で実行できて、これなら続けられそうと思う具体的な行動を一緒に考えます。次の4つの視点で整理すると、提案しやすくなります。
①座りっぱなしの時間を短くする
座りっぱなしは、デスクワークや会議などの仕事中だけでなく、自動車通勤やテレビ視聴なども該当します。30分に1回は立ち上がるなど、座りっぱなしを防ぐことが、総死亡や心血管疾患による死亡リスクを減らすことにつながります。
<具体例>
・仕事中のコピーは、まとめてではなく、こまめに取りに行く
・30分ごとにアラームをセットして、立ち上がるようにする
②生活活動の時間をプラス10分増やす
どんな工夫ができそうか、いつ時間が取れそうか、具体的に考えられると行動に移しやすくなります。
<具体例>
・帰宅時一駅分歩いて帰る
・買い物は歩いていく
③歩数を増やす
10分の歩行は約1,000歩に相当します。意外とスマートフォンの歩数計機能を知らずに見ていない方もいます。セルフモニタリングにもなりますが、活動量をアップさせるツールにもなります。
④筋力を高める
筋肉は年齢に関係なく鍛えられます。特に高齢者の場合は、筋力の維持・向上のためにも取り入れたいです。
高齢者の運動について
1日の身体活動量を確保できていない方は、成人同様「今よりも少しでも多く身体をうごかす」ようにします。その他、意識したいポイントをご紹介します。
・多要素の運動を取り入れる
有酸素性運動や筋力トレーニング以外にも、多要素な運動を取り入れることで、転倒・骨折が減少し、身体機能が維持・向上につながります。
<多要素の運動の具体例>
・バランス運動などを組み合わせて実施する運動
・体操
・ダンス
・ラジオ体操
・ヨガ
・複雑な動きが含まれる球技スポーツ
・体力に余裕のある方
もっと身体を動かしたいという方は、体力に余裕がある場合、成人と同量の身体活動を目標にしてもよいです。ただし、整形外科的な障害や転倒、持病悪化などのリスクがある方は、年齢や健康状態に応じた見極めが必要です。
まとめ
運動は、どうやって取り入れるかが難しいところではないでしょうか。身体活動量の目安をご紹介するだけでも、目標立案につながります。さらに具体的な内容をご提案できると、運動の選択肢が増え、より実行にもつながりやすくなると思います。
次回は、疾患別の運動についてご紹介します。
参考文献
・厚生労働省:「身体活動・運動の推進」、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html(閲覧日:2026年4月11日)
・公益社団法人日本医師会(編集):「健康スポーツ医学実践ガイド 多職種のすゝめ」第1版、株式会社文光堂、(2022)
・厚生労働省:「身体活動の促進」、健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~、
https://kennet.mhlw.go.jp/tools/tools_physical/index (閲覧日:2026年4月11日)
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